「平成28年度公募型研究助成事業」
研究課題概要

研究課題概要

●個人研究(18件)50音順・敬称略

氏名 青木 綾子
所属・役職 東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 食糧化学研究室 特任助教
研究課題名 膜小胞「エキソソーム」を介した経口免疫寛容誘導機構の解析
研究概要 経口免疫寛容は経口由来の抗原に対して全身の免疫応答が抑制される機構のことであり、この機構を強化できれば食物アレルギーを予防できる可能性がある。本研究では細胞間の情報伝達に寄与するエキソソームに着目し、経口免疫寛容におけるエキソソームの役割を解明することを目的する。食餌抗原を投与したマウスの血清エキソソームが免疫応答に与える影響を解明するとともに、免疫応答を修飾するエキソソームの特徴を明らかにする。

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氏名 芦野 滋
所属・役職 東京女子医科大学 助教
研究課題名 ウコン由来成分クルクミンによる食物アレルギー改善効果
研究概要 本研究では、食物アレルギー制御法を開発するため、モデルマウスを用い消化管における免疫細胞を調節し得るウコン由来成分「クルクミン」によって改善効果が得られることを科学的に証明し、治療応用できる新規知見の集積を目指す。特に、免疫細胞の一種である病原性ヘルパーT細胞、あるいは炎症を鎮静化する制御性T細胞の出現や機能に及ぼすクルクミンの影響に着目し、病態解明、制御法開発を行う。

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氏名 伊藤 亮治
所属・役職 公益財団法人実験動物中央研究所 免疫研究室 博士研究員
研究課題名 ヒト化マウスを用いた食物アレルギーモデルマウスの開発とアナフィラキシー制御の研究
研究概要 ヒトIL-3/GM-CSF Tg NOGマウスは、ヒト造血幹細胞移植後、マスト細胞や好塩基球などのアレルギー関連細胞が顕著に分化するヒト化マウスである。本研究では、食物由来抗原と特異的IgE抗体を当該マウスへ投与し、全身性アナフィラキシーを誘発するヒト食物アレルギーモデルの開発を目的とする。さらに抗アレルギー薬や減感作療法などにより症状の抑制が可能か検討し、創薬の前臨床モデルとしての応用を目指す。

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氏名 笠倉 和巳
所属・役職 東京理科大学 基礎工学部 生物工学科 学術振興会特別研究員PD
研究課題名 腸内共生菌及びその代謝産物によるマスト細胞の機能制御機構の解明-マスト細胞活性化依存的食物アレルギーの根治法の開発をめざして-
研究概要 生体最大の免疫系が備わっている腸管には、腸内細菌が共生しており、腸管免疫系の恒常性維持に寄与している。近年、腸内細菌の代謝産物である短鎖脂肪酸の作用についても注目されているが、食物アレルギーなどのI型アレルギー炎症誘導の責任細胞であるマスト細胞への作用につては未解明である。そこで、本研究では、短鎖脂肪酸によるマスト細胞の機能制御機構を解明し、アレルギー炎症の予防・治療法の開発に役立てる。

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氏名 片山 茂
所属・役職 信州大学 農学部 准教授
研究課題名 IgA産生促進作用を有するリン酸化蕎麦アレルゲンの創製とその応用
研究概要 アレルギー疾患の根治療法として、免疫寛容を利用した経口減感作療法の研究が行われているが、重篤な副作用の危険もあり、より安全性が高い手法の確立が求められている。そこで本研究では、「Treg分化誘導能及びIgA産生促進作用を有する低アレルゲン化抗原」をリン酸化法により創製し、抗原特異的な免疫寛容誘導療剤の開発を試みる。得られる研究成果は、アレルギー疾患治療薬の開発戦略において有用な知見をもたらすことが期待される。

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氏名 河北 亜希子
所属・役職 福井大学医学部附属病院 小児科 特命助教
研究課題名 経皮感作による食物アレルギー発症機序の解明と予防・治療法への応用
研究概要 食物アレルギーの新たな感作経路として経皮感作が注目されている。本研究では、マウスモデルを用い、経皮感作が成立し食物アレルギー発症に至る免疫学的背景について解析を進める。そして逆に、皮膚局所の免疫応答を制御する治療介入を行うことで、経皮感作の成立を抑制し、また既に発症した食物アレルギーの増悪を阻止しうるかを検証するとともに、経皮免疫療法へと活用していくことを目的として、研究を行う。

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氏名 北口 公司
所属・役職 岐阜大学 応用生物科学部 助教
研究課題名 腸管免疫系におけるペクチン認識機構の解明
研究概要 水溶性食物繊維のペクチンは,ポリガラクツロン酸に中性糖で構成される側鎖が付加した複合多糖類であり,腸内細菌を介してアレルギー応答を調節する食品成分であることが報告されている。さらにペクチンはパイエル板細胞に直接作用し,その細胞機能を調節している可能性も示唆されている。本研究では,腸管免疫細胞によるペクチンの認識機構を明らかにし,ペクチンが食物アレルギー予防に資する食品素材であるのかを検討する。

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氏名 佐藤 陽
所属・役職 いわき明星大学 薬学部 助教
研究課題名 ビオチニル化ペプチドを用いた新規アナフィラキシー治療薬の開発
研究概要 血小板活性化因子(PAF)はアナフィラキシーにおける重要な脂質メディエーターとして知られており、PAFの活性を阻害することにより致死的なアナフィラキシーを予防できる。本研究では、PAFとの特異結合能を有し、かつPAF活性を劇的に制御するビオチニル化ペプチドを用いた新規アナフィラキシー治療薬を開発することを目的として、実際に疾患モデル動物を用いてペプチドの有効性、および既知のPAF関連薬剤に対する優位性を評価する。

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氏名 清水 裕
所属・役職 北海道大学 大学院 水産科学研究院 技術専門職員
研究課題名 魚肉主要アレルゲンであるパルブアルブミンの消化吸収動態の解明
研究概要 本研究の目的は、魚肉の主要アレルゲンであるパルブアルブミン(以下、PA)が生体内で受ける消化と血中への吸収動態について調査するとともに、PAに対する加工処理が、それらに与える影響の解明することである。実験試料には、加熱処理とキレート処理(構造内Caイオンの除去)を施したPAを用い、これらのPAと未処理のPAをマウスへ経口投与した後、体内での消化状態と体内挙動を免疫学的手法によって調査検討する。

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氏名 下里 剛士
所属・役職 信州大学大学院 農学研究科 准教授
研究課題名 免疫抑制型オリゴDNAを有効成分とする食物アレルギー予防素材の創製研究
研究概要 2015年、私は、胃液に溶けず腸まで届く経口用DNAナノカプセル(DNanocap)の開発に成功した。DNanocapとは、免疫機能を有するオリゴDNAをカルシウム粒子に包摂したナノ粒子である。本研究では、抗アレルギー作用が期待される免疫抑制型DNanocapを用いて、アナフィラキシーモデルマウスへの経口投与試験を実施し、アナフィラキシー反応の予防・軽減効果について検証する。

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氏名 立花 雅史
所属・役職 大阪大学大学院 薬学研究科 薬剤学分野 助教
研究課題名 アレルゲンに対する免疫寛容を誘導可能なアデノウイルスベクターの開発
研究概要 肝臓は免疫応答が起きにくい臓器として知られており、後天的に免疫寛容(特定の抗原に対して免疫応答が起こらない)が成立する臓器であると考えられている。本研究では、肝臓集積性の高いアデノウイルスベクターを用い、肝臓特異的にアレルゲンを発現させることでアレルゲン特異的な免疫寛容を人為的に誘導可能な方法論の確立を目指し、食物アレルギーに対する新規治療法の開発に繋げる。

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氏名 土屋 創健
所属・役職 熊本大学 生命科学研究部 薬学生化学分野 講師
研究課題名 シングルセル解析を用いた食物アレルギーモデルにおけるin vivoマスト細胞の亜集団解析
研究概要 近年、機能面で拮抗する免疫細胞亜集団が存在し、これらのバランスが適切な免疫・炎症に重要であり、その破綻は種々の疾患を引き起こす。マスト細胞は食物アレルギーにおいて重大な免疫細胞であるが、亜集団を含め、そもそものin vivoの性質・特性が不明である。そこで本研究課題では、腸管マスト細胞の発現プロファイルを正確に捉える手法を創成し、その性質・特性を明らかにするとともに、亜集団の同定・分類を目指す。

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氏名 永井 晶代
所属・役職 藤田保健衛生大学 医学部 皮膚科学 講師
研究課題名 プロテオミクス的手法を用いた魚アレルギーの新規診断マーカーの確立
研究概要 魚類に対するアレルギーは、日本における食物アレルギーの中で常に上位を占める。高い診断レベルが求められる中、魚類アレルギー検査の精度は十分と言えないのが現状であり、患者の臨床症状を的確にとられた検査法の開発が望まれている。本研究では、プロテオミクス解析手法を駆使し、魚類特異的なアレルゲン蛋白質を網羅的に同定し、新規診断マーカーとしての有用性を検証する。

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氏名 中村 勇規
所属・役職 山梨大学大学院 総合研究部 医学域基礎医学系 免疫学講座 講師
研究課題名 概日時計による食物アレルギーの調節機構の解明
研究概要 我々は、食物アレルギー症状の重症度が概日時計(時計遺伝子)によって制御されていることを報告した。しかしながら、その詳細なメカニズムは未だ明確ではない。本研究の目的は、このメカニズム(特にマスト細胞の概日時計が果たす役割について)を明らかにすることである。このメカニズムを解明することは、新しい発想に基づく食物アレルギーの予防・治療法の開発につながる可能性がある。

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氏名 東 恭平
所属・役職 千葉大学大学院薬学研究院 助教
研究課題名 免疫調節活性を有する腸内微生物由来コンドロイチン硫酸代謝物の探索
研究概要 コンドロイチン硫酸 (CS)は膝関節炎の疼痛寛解を目的に医薬品や健康食品として流通しているが、その抗炎症作用の詳細は未だ明らかとなっていない。本研究では、免疫調節活性を有する腸内微生物由来CS代謝産物を糞便中から探索・同定することを目的とする。具体的には、CSをマウスに長期投与して糞便抽出物を調製し、免疫調節活性を有する腸内微生物由来CS代謝産物を探索すると同時に腸内細菌叢の変化も調べる。

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氏名 本間 哲也
所属・役職 昭和大学 医学部 内科学講座 呼吸器・アレルギー内科学部門 助教
研究課題名 アニサキスアレルギー患者におけるアニサキスアレルギーコンポーネント測定の意義
研究概要 アニサキスは多くの海産物に存在し、アニサキスアレルギー患者の食生活に影響を与える。
アニサキス特異的IgE抗体測定での診断は、感度・特異度が十分でない。アニサキスcomponent特異的IgE抗体測定は、高精度な診断法とされる。
アニサキスアレルギー患者は海産物回避が原則だが、漫然と回避することが必ずしも適切ではない。本研究は、アニサキスcomponent IgE抗体測定により、診断精度の向上、長期観察での有用性、再摂食の可否について検討する。

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氏名 村上 太郎
所属・役職 大阪市立環境科学研究所 研究員
研究課題名 プロアントシアニジンを含む食品からの小麦タンパク質の検査法の改良
研究概要 本研究ではプロアントシアニジンを原材料に含む食品からの小麦タンパク質の検出のために、抽出時のPolyvinylpyrrolidoneの共存条件を最適化し、より信頼性の高いスクリーニング検査法を確立することを目的とする。改良した検査法は、従来のアレルギー物質のスクリーニング検査法との同等性を評価し、プロアントシアニジンを含む市販加工食品中の小麦タンパク質の混入実態の調査と表示の検証のために応用する。

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氏名 谷田 守
所属・役職 金沢医科大学 医学部 生理学Ⅱ講座 講師
研究課題名 アナフィラキシー低血圧時における交感神経制御機構の解明
研究概要 食物や食品添加物によるアナフィラキシーや食物アレルギーにおいては、抗原暴露から30分程度でアナフィラキシーが惹起され、低血圧や呼吸困難など重篤な状態へ発症することが多い為、迅速に対応できる治療法の開発が急務である。そこで本研究では、アナフィラキシー低血圧における交感神経系制御機構を明確にして、食物によるアナフィラキシー低血圧の予防・治療法の開発に応用することを目的とした。

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●共同研究(7件)50音順・敬称略

代表研究者氏名 今井 孝成
所属・役職 昭和大学 医学部 小児科学講座 講師
研究課題名 栄養士の食物アレルギーに関する卒前卒後教育の充実のための基盤的研究
研究概要 食物アレルギー患者のQOL改善には栄養指導が効果的であるが、しかし現在栄養士による栄養指導が普及しているとはいえない。これは栄養士の卒前および卒後教育において十分な指導教育が行われていないことに起因すると推察される。本研究は栄養士らの養成校等を対象に実態調査を行い、我が国における食物アレルギー教育の実態や栄養指導の実施状況を把握し、今後の充実した栄養指導の達成のための基盤研究とすることを目的とする。

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代表研究者氏名 遠藤 隆
所属・役職 龍谷大学 農学植物生命学科 教授
研究課題名 小麦アレルゲンを欠損したパンコムギ系統の実用化に向けた調査
研究概要 小麦は、鶏卵、牛乳とともに「食物の3大アレルゲン」の一つである。小麦アレルギーは、グルテンの成分であるω−5グリアジンが主要な抗原となっている。申請者は、ω−5グリアジン遺伝子座を欠失した系統を日本のパンコムギ品種に戻し交配して育成してきた。本研究では、このアレルゲン欠損系統について、収穫量や製パン・製麺特性を純系品種と比較し、さらに、免疫学的および臨床研究を行い、実用品種となり得るかを調査する。

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代表研究者氏名 林田 直樹
所属・役職 山口大学大学院 医学系研究科 医化学分野 講師
研究課題名 食物アレルギーにおける免疫系転写因子 NFATc2 の役割の解明
研究概要 免疫系は生体に有害な異物を排除するための防御システムとして不可欠であるが、一方で、有害でない物質に対しても異常な反応を示し、生命に危機を及ぼすことがある。このような反応が食物に対して起こるのが食物アレルギーである。申請者らのグループは、免疫系で重要な転写因子 NFATc2 の機能の観点から、食物アレルギーが引き起こされるメカニズムを解明し、完治への道筋を見出したいと考えている。

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代表研究者氏名 藤澤 隆夫
所属・役職 国立病院機構三重病院 院長
研究課題名 重症鶏卵アレルギーに対する経皮免疫療法の有効性と安全性に関する研究
研究概要 食物アレルギーの疾病負担は大きいが、未だ確立した治療法がなく、経口免疫療法も効果の限界、副反応等の問題から標準治療とはなっていない。本研究では新規治療として、重症鶏卵アレルギーに対する経皮免疫療法の効果と安全性を検証する。皮膚は免疫臓器であり効果的に耐性を誘導できる可能性がある。用いる新規デバイス、親水性ゲルパッチは効率的に皮内に抗原送達可能であり、安全かつ有効な治療法として期待は大きい。

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代表研究者氏名 松本 健治
所属・役職 国立成育医療研究センター研究所 免疫アレルギー・感染研究部 部長
研究課題名 ヒスタミン遊離因子の阻害による食物アレルギー治療薬の開発
研究概要 食物アレルギーには抗原の回避以外に確立された治療法はなく、治療法の開発は喫緊の研究課題である。ヒスタミン遊離因子(HRF)は約30%のIgE抗体(IgG抗体とも)と直接結合してマスト細胞を活性化する分子であり、近年各種アレルギー疾患における意義が明らかにされつつある。本研究では、HRFの阻害による食物アレルギー治療薬の開発を最終目的として、抗HRF抗体やペプチド由来阻害剤の効果を検討する

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代表研究者氏名 村田 幸久
所属・役職 東京大学 大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻 准教授
研究課題名 食物アレルギー診断マーカーの探索と応用
研究概要 食物アレルギーは食品中に含まれる抗原を取り込むことで起こるアレルギー反応であり、下痢や嘔吐、皮膚炎などの症状が出る他、ショックを起こすケースもある。食物アレルギーの予防や治療には、できる限り早期に診断をつける必要があるが、現在簡便かつ正確な診断方法が存在しない。本研究では、乳幼児でも採取が簡単な“尿中に排泄される食物アレルギーマーカーの探索と応用”を目的に研究を行う。

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代表研究者氏名 柳田 紀之
所属・役職 独立行政法人国立病院機構 相模原病院 小児科 医長
研究課題名 鶏卵粉末を用いた標準化された食物経口負荷試験の確立に関する多施設研究
研究概要 食物アレルギー診療において食物経口負荷試験は必須であるが、準備の煩雑さと安全性の問題から十分に普及していない。本研究は負荷食品の調理が難しく、有病率が高い鶏卵アレルギー児を対象に、調理済みの定型の負荷食品(鶏卵ジュース)を用い、鶏卵1/32、1/8、1/2相当の3ステップで順番に別の日に試験を行い、陽性率や誘発症状を調査する。全国18施設の共同研究で、より安全で簡便に施行可能な食物経口負荷試験方法の確立を目指す。

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