FAQ

食物アレルギーの概要について

なぜ、食物アレルギーの患者さんは増えているのでしょうか。

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特に日本をはじめ、アメリカやヨーロッパでは患者数が増えています。
明確な要因はわかっていませんが、いくつか説が提唱されています。
花粉症の増加によって交差反応性がある果物・野菜に対するアレルギーも増えているという説があります。抗生物質による腸内細菌叢の乱れが原因ではないかという説もあります。いずれにしろ、確定的な説はまだありません。今後の検討が必要です。

小学生になって食物アレルギーを発症した児童がいます。ある程度の年齢になってからでも、突然発症することがあるのでしょうか。

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小学生になってから突然発症される方はいらっしゃいます。乳幼児期に多い原因食物「卵・乳・小麦」は小学校に入学するまでに70〜80%の方で食べられるようになります。一方、小学生になってから発症する方の原因食物に「甲殻類(えび・かに)、果物」などがあります。また、口腔アレルギー症候群といって、花粉症の原因となるたんぱく質と似たたんぱく質を持つ果物(もも・さくらんぼ・リンゴ・キウイフルーツなど)に反応し、口周囲に症状をおこすひともいます。花粉症をお持ちの一部の方にみられる症状です。

食物アレルギーの児童は痩せているような印象を受けます。
一般的によくあることなのでしょうか。

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食物アレルギーの3歳児、5歳児におけるBMIが低いという健診での調査結果が報告されています。
原因となる食品は患者さんによって様々ですが、食物アレルギーだからといって敏感になり過ぎない事が大切です。
“心配だから”といって除去はせず、原因かどうか正しく診断をして安全に食べることができる食品で栄養素に偏りが起きないように摂取していきましょう。

食物アレルギーは遺伝するのでしょうか。

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ご両親がなんらかのアレルギーをお持ちの場合、お子さんもアレルギー体質である確率は高いです。
例えばご両親が喘息の場合、お子さんの約9割、片親の場合は約5割の確率で喘息を発症する可能性があると言われています。
ただし、必ずしもアレルギーになるとは限らないため、食物アレルギーの場合も“念のため”といって離乳を遅らせたり、食物除去をする必要はありません。

アレルギーマーチとは何ですか。

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アレルギーマーチとは、食物アレルギー、湿疹に始まり喘息、花粉症というように、患者さんの年齢とともにアレルギー疾患が変化してみられる現象です。
日本で提唱された言葉で、世界中で使われています。
患者さんによって症状の現れる順番は様々ですが、一般的な傾向は、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎という順番です。

病院で栄養士をしています。食品の多量摂取と食物アレルギーの発症に関係はあるのでしょうか。

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多量に摂取することで食物アレルギーを発症することはありません。不必要な除去はしないよう心がけるようにしましょう。過度に神経質になり過ぎず、通常どおり食べることが身体にとって負担が少なく、望ましい、ということをご指導頂けると良いと思います。

病院で栄養士をしています。食物アレルギーの発症予防と腸内細菌の関係性について、エビデンスはあるのでしょうか。

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腸内フローラは大変注目されていますし、期待されている分野ですが、今はまだ研究段階で、指導に実用可能なデータは現時点ではありません。

オーソモレキュラー療法でのアレルギー治療について

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オーソモレキュラーは栄養療法といって、食事やサプリメントで病態を改善していく療法です。専門医によって作成された食物アレルギーやアトピー性皮膚炎のガイドラインには科学的根拠に基づいた標準的な治療が記載されています。しかし、オーソモレキュラーは採用されていません。アトピー性皮膚炎は、“トータルケア”といって、増悪因子や原因を除去・回避しながら、ステロイドやプロトピックといった外用薬で炎症を抑え、スキンケアをしながら保湿剤で皮膚を保護することが基本的な治療法です。食事やサプリメントで治療するオーソモレキュラーでは十分な効果は期待できないと思います。

食物アレルギーの発症を予防する方法はあるのでしょうか。

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発症予防に関する研究は進んでいます。ヨーロッパやアメリカにおいて患者数の多いピーナッツは、重症症状を引き起こしやすい食品として関心が高まっています。2015年に行われたピーナッツの発症予防に関する研究によると、生後4か月からピーナッツを継続的に摂取した群では、除去した群と比べて5歳児におけるピーナッツアレルギーの発症率が減少したという結果が報告されました。
我が国でも発症予防に関する研究が行われています。湿疹症状のある児を対象に、生後6か月頃からごく少量の加熱卵を段階的に摂取した群と、12か月まで除去した群とでは、摂取した群において鶏卵アレルギーの発症率が減少したという結果が示されました。これまでの研究結果からも、“食物アレルギーが心配だから”といって摂取時期を遅らせても、食物アレルギー発症予防とならないとされています。しかし、食物アレルギー発症予防のための摂取開始時期や摂取量など具体的な方法については研究段階にあります。
「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」が今年の3月に発刊されました。これによれば、離乳食の開始は児の発達状況が下記の目安を満たしている場合、生後5−6か月がよいとされています。また、加熱卵黄の導入も生後5−6か月となっていますが、この点は、平成19年に発刊された「授乳・離乳の支援ガイド」では加熱卵黄導入が生後6か月となっており、これよりは早期になっています。しかし、平成7年の「改定 離乳の基本」では加熱卵黄の導入生後5か月であり、元へ戻ったといえます。離乳食の開始や加熱卵黄の導入は、現時点では、「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」に従うのがよいと考えます。

*開始時期の子どもの発達状況の目安
1.首のすわりがしっかりして寝返りができ
2.5秒以上座れる
3.スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる(哺乳反射の減弱)
4.食べ物に興味を示すなどがあげられる

花粉と食物アレルギーの関係について教えてください。

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特定の花粉と特定の野菜・果物の両者のタンパク質には、似たアミノ酸配列が存在します。たとえば、シラカンバの花粉とバラ科の果物(モモ・サクランボ・リンゴなど)です。花粉タンパク質に対するIgE抗体が果物・野菜のタンパク質と反応するため、果物・野菜を食べるとアレルギー症状を惹起することがあります。これを、花粉-食物アレルギー症候群(pollen food allergy syndrome;PFAS)と呼びます。花粉症患者の一部の方にみられる食物アレルギーで、主に口腔内に症状を引き起こします。新鮮な野菜・果物をプリックした針を皮膚にプリックするPrick-to-Prick試験や食物経口負荷試験(舌下投与法)で診断します。

エピペン研修を行いたい場合には、どのような機関に相談したらよいでしょうか。

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消防機関や医療機関が主体となって実施していることが多いです。実際に、小学校から依頼を受けた消防署がエピペン講習を行っているという地域があります。相談されてみるとよいと思います。エピペンは、自動体外式除細動器(AED)のように常設しておくことはできません。エピペンが必要な状況になった場合には、その患者さんが携帯しているエピペンを使って投与します。処方されている患者さんのエピペンを職員室や保健室などで管理している園・学校もあります。

摂取だけでなく、皮膚や鼻からのアレルゲンの接触も含めた食物アレルギーとの向き合い方について何か知見がありましたら教えてください。

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確かに皮膚と食物アレルギーは関係性があるということが分かっています。原因食物アレルゲンが皮膚から侵入することで特異的IgE抗体が産生され、原因食物を食べてアレルギー症状を引き起こすことがあります。食物アレルギーの発症は乳児・幼児が多く、年齢と共に耐性獲得をしていくと考えられていましたが、皮膚から食物アレルゲンが進入することによって免疫寛容(アレルギー反応を引き起こさないように働くシステム)の破綻が生じ、食物アレルギーが発症する可能性が証明されています。よって、皮膚のバリアが壊れているアトピー性皮膚炎の患者さんは、食物の抗原が含まれている外用薬や化粧品などは控えるべきです。

遅延型食物アレルギーについて教えてください。

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特定の食物を食べると体調不良を呈する場合に「遅延型食物アレルギー」と診断する医療機関がありますが、確立された病態ではありません。このような医療機関では診断するために血中特異的IgG抗体が調べられていますが、特異的IgG抗体は健常者でも検出され、食物アレルギーの診断法として医学的根拠もなく不適切な検査法です。当然、健康保険も適応されず自費となります。日本小児アレルギー学会から発刊された「食物アレルギー診療ガイドライン2016」でも「食物アレルギーの診断に用いることはできない」とされています。

食物アレルギー以外に何のアレルギーがありますか。

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金属アレルギーやダニ、昆虫アレルギーなど、私たちの身の回りにあるものが原因となりアレルギー症状を引き起こすことがあります。その中でも、アレルギー症状を起こしやすいもの、起こしにくいものがあり、食物や花粉、ダニなどによるアレルギーは、起こしやすいものに分類されます。

高齢になってから突然、食物アレルギーを発症することはあるのでしょうか。

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食物アレルギーは多くの場合、年齢が低い時期に発症し、成長とともに食べられるようになります。ただし、食品によって発症しやすい時期は異ります。成人になって発症することがある食品として、そば・ピーナッツ・甲殻類・ナッツ類・果物や野菜などが挙げられます。高齢の方による発症の頻度は少ないと考えられますが、引き起こす可能性はあります。

食物アレルギーは再発することがあるのでしょうか。発症しなくなった後も継続して管理が必要なのか知りたいです。

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食物アレルギーの多くは年齢が大きくなるにつれて耐性を獲得して治っていきます。これを自然耐性獲得といい、この場合、再発することは少ないとされていますが、ピーナッツでは再発例が報告されています。経口負荷試験で自然耐性獲得が確認された後に、食べる量が少ない患者さんに再発する傾向があるとされています。十分量を食べていることが再発を防ぐポイントと言えます。最近、経口免疫療法が専門医の指導のもとで行われるようになりました。経口免疫療法でも無症状で食べることができる量が増えていきますが、こちらは、1食分(フルドース)を食べられるようになった患者さんでも、食べることを中断すると多くの患者さんにおいて再発します。経口免疫療法で得られた耐性獲得と自然耐性獲得とでは機序が異なるとされています。経口免疫療法では増量期終了後も維持療法を続けることが重要と言えます。

食物アレルギーの既往がない児童が給食を食べた後に発症し、救急搬送されました。後日、血液検査を行ったところ、結果は陰性だったためこれまで通りの対応をしていました。しかし、別の日の給食の後、再び同様の症状を引き起こしてしまいました。発症した各日の給食は「カレー(アレルギー対応)と梨」、「カレー(アレルギー対応)とバナナ」です。あるメニューが組み合わさることで食物アレルギーを発症することがあるのでしょうか。

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アスピリン過敏症といって、鎮痛解熱剤を服用した際に喘息や蕁麻疹を引き起こす方がいます。このアスピリン過敏症は、カレーに含まれる原材料や食用色素、保存剤などを摂取した際に誘発されることがあります。
カレールウが原因でアスピリン過敏症が引き起こされた可能性も考えられます。医療機関で医師にみてもらうようにアドバイスされると良いと思います。

授乳中の場合、母乳を介して食物アレルギーを発症することはあるのでしょうか?

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母親が摂取した食品に含まれるアレルゲンは母乳中に移行しますが、ごく微量です。また、消化・吸収の過程で消化管から分泌される消化酵素によってタンパク質は低分子化されているためアレルゲン性は低くなっています。そのため、多くの患者さんにおいては母乳の摂取に問題はありません。もし、母乳中の食物アレルゲンによる食物アレルギーが疑わしい場合には、いわゆる「経母乳経口負荷試験」によって確認します。卵アレルギーの場合を以下に示します。
①母親に1週間ほど卵を完全除去してもらい授乳を実施、その時のお子さんの症状を記録
②次に、母親に卵を1個相当毎日摂取してもらい授乳を実施、その時のお子さんの症状を記録
上記の①と②の結果から、授乳中の母親の卵除去が必要か否かを判断します。

卵アレルギーの場合、インフルエンザワクチンの接種は問題ないのでしょうか。

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鶏卵の成分(卵白アルブミン)が微量に含まれているので注意は必要ですが、多くの鶏卵アレルギー患者さんにおいて接種することができます。しかし、鶏卵完全除去中や鶏卵摂取後にアナフィラキシーを起こした病歴がある児など、接種可否の判断が困難な症例は専門施設への紹介をするとされています(インフルエンザ予防接種ガイドライン2015年版)。いずれにしろ、ワクチン接種後30分~1時間は様子を観察し、症状の有無を確認する必要があります。

教育委員会で栄養士をしています。牛乳が200ml飲める児でも微量のチーズで症状を引き起こすことはあるのでしょうか。

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いくつかの理由が考えられます。ひとつは牛乳アレルギーではなく、チーズの中に含まれるヒスタミンが原因で起こるアレルギー様食中毒です。主な原因食品としては魚肉が知られていますが、ワインやチーズなどの発酵食品にもヒスタミンが含まれることがあります。
《参照「ヒスタミン食中毒」消費者庁》
もうひとつは、チーズの製造工程中の加熱処理などにより、主要アレルゲンであるカゼインなどのタンパク量が、牛乳より濃くなったことで、牛乳アレルギーを発症した可能性も考えられます。 また、牛乳を食べられるようになっても、アレルゲンを吸入したり、眼などの粘膜から未消化のアレルゲンが侵入することによってアレルギー症状を誘発する場合もあります。

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診断・治療について

経口負荷試験はいつ頃から受けたらよいでしょうか。

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病歴や皮膚プリック試験や血液特異的IgE抗体価の結果で経口負荷試験を行うか決めます。つまり、年齢は関係ないといえます。母乳栄養だけの乳児でも、母親に食べてもらい、授乳で赤ちゃんに症状がでるかをみる、経母乳経口負荷試験を行うこともあります。
経口負荷試験の目的は、原因となるアレルゲンの確定診断および耐性獲得の確認です。
不必要な除去は、食生活のQOL低下だけではなく、栄養障害などを引き起こすおそれもあります。
病歴と皮膚テストや血液検査を参考に、適切な時期に受けましょう。

小児科医師です。アナフィラキシーの既往があり特異的IgE抗体価の高い1歳のお子さんが受診しています。このような重篤な方への食物経口負荷試験の実施は望ましいのでしょうか。また、経口負荷試験の適正年齢に基準があれば教えてください。

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特異的IgE抗体価が高く、アナフィラキシーのリスクがある方に対しては、先ずは完全除去で進めます。半年ごとに血液検査を行い、特異的IgE抗体価と年齢をみて経口負荷試験の実施を検討されると良いかと思います。ご本人の誘発リスクを考えながら、完全除去も含め、部分除去(部分解除)を検討されると良いと思います。
また、完全除去から部分除去へと進める場合には、始めに食物経口負荷試験を行い、安全量を確認する必要があります。お子さんによって、安全量は異なります。血液検査による特異的IgE抗体価はあくまで経口負荷試験で症状が誘発される確率を意味しています。そのため、特異的IgE抗体価とプロバビリティカーブを基にある程度(5割くらい)陰性が期待できる場合に経口負荷試験を実施し、これまでの既往も含めて安全量を決定します。
その後、定期的に経口負荷試験を行い、食べられる安全量をその都度、確認していきます。 一方、経口免疫療法は「耐性を増やすこと」を目的としています。原因食物を継続的に摂取し、ある一定期間ごとに意図的に増量していく治療法です。 安全量摂取と経口免疫療法は目的が異なりますので、区別をして考える必要があります。

部分除去で管理する場合、摂取量の確定はどのように行うのでしょうか。また、摂取後の症状の程度に許容範囲はあるのでしょうか?

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部分除去での管理は、安全が優先される園・学校や病院では誤食のおそれがあり馴染みません。家庭ならば子供さんの食物アレルギーの程度が十分分かっている保護者がいます。保護者も自分の子供への対応ですから誤食も起きにくいといえます。安全に摂取できる量は、経口負荷試験で確認できた推定安全量を基準として、運動や入浴などが重なった場合でも症状が誘発されない安全係数をかけた量とすることが原則です。 また、アレルギー児の食事歴を把握することで部分除去を指導することもできます。問診できちんと確認することが大切です。

専門医のいる医療機関を調べる方法・手段はありますか。

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食物アレルギー研究会のホームページに、「食物経口負荷試験」を行っている医療機関の一覧が紹介されています。参考にされると良いと思います。
また、日本アレルギー学会のホームページにアレルギー専門医の一覧が掲載されています。

経口免疫療法とはどのような治療法なのでしょうか。

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原因となる食品を計画的に摂取し増量をすることで耐性獲得を目指す治療です。現在は研究段階であり、保険適用もない治療法です。
多くの場合、食物アレルギーは乳児期に発症し成長に伴って耐性を獲得します。
(5~6歳で約8割の患者さんが耐性を獲得するといわれています。)
対象年齢は、概ね5歳以上で実施されています。理由は、原因食品を定期的に摂取する治療であり、種々の負担を強いる事になりますので、ある程度理解ができる年齢に行う方が良いと思います。
また、自然に耐性を獲得する見込みのある患者さんにまで負担がある経口免疫療法を行う必要がないと考えられることから、5歳になっても治っていないお子さんを対象として実施されています。
また、治りにくいとされる特異的IgE抗体価の高い方や誤食によって重症症状のおそれがあるアナフィラキシーを起こした事のある方も、経口免疫療法の必要性の高い患者さんといえます。

経口免疫療法を行っていると、口腔内の症状を訴えられ、継続的な摂取が困難なケースがあります。このような場合での治療の進め方について教えてください。

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食品の接触が原因で症状を誘発されていることが考えられますので、軽微な症状も出ない安全量でしばらく観察をし、少しずつ増量するなど時間をかけて進めていくと良いでしょう。また、原因食物を他の食品に混ぜる・薄めるなどをして、原因食物が口腔粘膜に接触する濃度を下げるという工夫も1つかと思います。経口免疫療法での維持期における原因食物の摂取回数や間隔については、患者さんへの負担を考慮して、個々に検討することが大切です。摂取可能な加工食品も上手に取り入れながら、完全解除を目指していくと良いでしょう。

経口免疫療法をしていると、原因食物の味やにおいに嫌悪感を抱くお子さんがいます。 負担なく摂取してもらうための工夫があれば教えてください。

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最初の導入として、匂いや色がわかりにくく、原因食物を少量含む加工食品を活用されると良いかと思います。特に卵の場合は、色が苦手な方が多い傾向にありますので、色味が隠れるお料理を用いられると良いかと思います。例えば、しっかり加熱されているクッキーは、色味や臭いも気にならず食べやすい食品です。手作りをすれば抗原量も把握しやすい加工食品の1つだと思います。また、原因食物が含まれていることをお伝えすると、「今は食べられるようになった」という達成感と自信につながります。加熱卵と比較すると抗原性が異なる食品もありますので、栄養士は、医師と相談しながらすすめていきます。

経口免疫療法は、成人でも受けることができるのでしょうか。

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はい、行うことができます。
現在は研究段階の治療法ですので、専門医のもとでの実施が原則となっています。
また、経口免疫療法は定期的な受診が必要となります。
専門医と十分な話し合いのもと、実施しましょう。

アトピー性皮膚炎のお子様で、ステロイド剤の塗り薬を処方されているのですが、心配から使用していないようで、皮膚の状態が改善されていません。食事も心配されています。どのようにフォローしたら良いでしょうか。

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薬だけで炎症を抑えるのには限界があります。そのため、先ず初めに、トータルケアのお話をするようにしています。トータルケアとは、外用ステロイドのような塗り薬でのケアだけでなく、皮膚のバリアを維持するために保湿剤を塗布し、さらに、原因や増悪因子を除去・回避する治療法です。トータルケアを実施することで、副作用を最小限に抑え、且つ最大の改善効果を見出すことが可能です。また、2歳以上のお子さんにはプロトピックという塗り薬を使用する事が可能です。これは炎症を抑える外用薬で、皮膚の刺激感が時にみられますが、ステロイドでみられる副作用がほとんどありません。ステロイド外用薬やプロトピック軟膏による効果を上げるためには塗布する量や方法など具体的なスキンケアの指導が重要です。また、ステロイド軟膏の副作用は内服ステロイド薬と比べると、はるかに少ないということもきちんとお伝えしましょう。
外用薬の塗り方をお伝えすると当時に、石鹸の使い方や洗い方なども合わせてご指導されると、外用薬の効果がより期待されると思います。同時に、原因の解明は大変重要です。食物ばかりでなく、ダニやハウスダストが原因の場合には、スキンケアだけでなく、環境の整備も同時に必要になり、原因をとりのぞくことで、皮膚の状態も良くなってくることがあります。また改善が見られると、スキンケアに対するご両親の不安な気持ちも軽減されることが多いです。具体的なスキンケア方法は、専門知識や技術を兼ね備えた小児アレルギーエデュケーター(看護師・薬剤師)から聞くことが可能です。
全身にアトピー性皮膚炎を発症している方は、多数の食品や急性抗原に対して特異的IgE抗体価が高い傾向にあります。バリアが壊れた皮膚から食物抗原が侵入することで感作が進むと言われています。 このような場合でも、スキンケアとステロイド外用薬の塗布を行うことによって、特異的IgE抗体価が下がることがよくあります。食物アレルギーの症状を改善させるためにもトータルケアを行い、皮膚の状態をコントロールすることが大変重要です。

食物経口負荷試験を行い、「食べられる範囲の量」を決定するとのことですが、この「食べられる範囲の量」とは、1食あたりの摂取量という理解でよいのでしょうか。また、この摂取量を1日のなかで複数回食べる場合の注意点があれば教えてください。

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経口負荷試験では年齢相当の1食分を最終摂取量とします。食事における血中濃度の持続時間は7~8時間と言われています、食べられる範囲の量を1日のうちに複数回摂取する場合は、血中濃度の観点から半日くらいは間隔を空けるべきと推測されます。しかし、安全性の観点から1日1回を目処とした方がよいのではないでしょうか。

そばのつなぎに小麦粉を使用している場合があります。そばアレルギーの患者さんへの食物経口負荷試験はどのように行っているのか教えてください。

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そばの経口負荷試験を行う場合には、小麦の摂取が可能かどうかを確認します。小麦を摂取できる患者さんならば、小麦粉をつなぎに使ったそばで経口負荷試験を行うことができます。小麦アレルギーがある患者さんの場合にはそば粉そのものを使用します。
そばは重篤な症状を引き起こすリスクがある食品です。経口負荷試験は慎重に行う必要があります。そばアレルギーの明らかな既往がある場合は経口負荷試験まで行う必要はありません。

経口免疫療法の具体的な方法について教えてください。

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経口免疫療法は研究段階にある治療法で一般診療として推奨されていません。必ず専門医の指導のもとで行われるべきです。まだ、標準化された方法はなく、医療機関で異なっています。
我々の方法の概要は次の通りです。
①食物経口負荷試験によって決定した安全摂取量の1/2量を家庭で2週間毎日摂取
②①の摂取量において症状が誘発されなければ、①の摂取量の1.5倍の量を病院で摂取し、アレルギー症状が出なければ、その量を家庭で摂取。これを繰りかえす。
増量幅は10g(10ml)で留める。摂取量が100g(100ml)を超えたあとは、25g(25ml)の幅で増量する。鶏卵1個、牛乳200ml、うどん200gを最終量とする。
③最終量まで到達したあとは週2−3回摂取の維持療法を継続する。
上記のプロトコールどおりに進まない患者さんの場合は、個別の増量方法をとる場合もあります。

食物除去試験について教えてください。

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皮膚プリック試験や血液検査の結果から、疑わしい食品に対する食物除去試験を行うことがあります。この試験では、疑わしい食品を2週間完全除去してその間の症状の有無を観察記録します。完全除去によって症状の改善が見られた場合は、疑わしい食品と症状誘発との因果関係をはっきりさせるために食物経口負荷試験を行います。

食物アレルギーの検査は生後6か月以降の乳児が対象になると聞きました。生後6か月未満の場合にはどのように診断するのでしょうか。

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生後6か月未満の乳児でも検査することは可能です。最初に行う検査は、抗原特異的IgE抗体を血液検査や皮膚プリック試験で調べます。必要な場合には経口負荷試験を行うこともあります。特に、新生児・乳児消化管アレルギーはIgE抗体が関与しないので、病歴から診断ができない乳児では必要になることがあります。

血液検査は何歳から受けられますか。

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問診により即時型アレルギーの発症リスクが高いと判断された場合は、乳児期でも血液検査を行うことがあります。 しかし、乳児期の検査の注意点として、該当する食物にアレルギーがあっても検査が陰性にでたり(偽陰性)、逆に、ある食物に対するIgE抗体に陽性反応があっても、その食物に対するアレルギーは起こさず食べられる場合もあります(偽陽性)。こういった理由から、誤食や過剰な除去を避けるためにも、検査を行う必要性を含めて専門医とよく相談して行うようにしましょう。

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栄養食事指導について

食物アレルギー発症予防のために、妊娠中~授乳中の母親の食物除去は必要なのでしょうか。

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発症予防のための母親の食物除去は推奨されていません。
母乳中にも食物抗原は分泌されていますが、抗原量はごく微量ですので乳児の症状が重篤になることはほとんどありません。
もし、母乳による食物アレルギーであると疑わしい場合には、「経母乳経口負荷試験」により確認をし、母親の食物除去が必要かを判断します。
また離乳期においても同様に、予防のためといって離乳食の開始時期を遅らせる必要はありません。

まずは、「食べてみる」ことが大切です。
1口ずつ、それから1品ずつ増やして様子をみていきましょう。
「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改訂版)を参考にしてバランスの良い食生活を心がけて下さい。
偏った食事は、栄養素欠乏症のリスクを招く可能性があります。

「食物アレルギーの子どものためのレシピ集」には基礎知識や対応レシピの他、離乳食のポイントなどが紹介されています。
ダウンロード可能ですので、参考にすると良いと思います。

・「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改訂版)厚生労働省
・「食物アレルギーの子どものためのレシピ集」独立行政法人 環境再生保全機構

食物アレルギーの家族歴がない乳児への除去は必要なのでしょうか。

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家族歴があるなしに関わらず、“念のため”の除去は推奨されていません。
除去による食物アレルギー発症予防の期待はできないということがわかっています。
「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改訂版)に従って、離乳食を導入し、進めることが大切です。
偏った食事は、栄養素欠乏症のリスクを招く可能性があります。適切な時期に適切な食品を摂取するようにしましょう。
同様に、妊娠中・授乳中の母親においても食物除去は児の食物アレルギー発症予防は期待できません。バランスの良い食生活を心がけましょう。

・「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改訂版)厚生労働省

食物アレルギーの血液検査で陽性反応が出た場合、原因食品は食べない方が良いのでしょうか。

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血液検査が陽性反応だからといって、原因食品が食べられないという訳ではありません。
食物アレルギーとは、原因食品を食べて症状が起きる場合のことを言います。
診断方法は、第1ステップとして食物アレルギーの血液検査を行い、特異的IgE抗体を調べます。必要な場合は、次に、経口負荷試験を行います。
血液検査で行われる特異的IgE抗体価は食物経口負荷試験で症状が誘発される確率(プロバビリティ)を意味しています。特異的IgE値と経口負荷試験の陽性率との関係を示すグラフをプロバビリティカーブと呼びます。つまり、経口負荷試験でほとんどの患者さんが陽性になる、例えば90%の確率で陽性になるIgE値がこの血液検査で分かります。
ただし、特異的IgE値と経口負荷試験とのプロバビリティカーブが描けている食品は限られています。また、発症が誘発される確率は食品によって異なります。原因食品ごとに検査を行い、食べられる食品や量をきちんと調べることが大切です。

原因食物以外の食品に対しても、恐怖から摂取を拒んでしまうことがあります。どのように指導を進めたらよいでしょうか。

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症状が誘発されないことが前提となりますが、食品を何かに混ぜ、分からないようにして、さらに、食品の正体を伏せた状態で摂取してもらい、摂取後に無症状で食べられたことを明かし、自信をつけてあげる方法も一案です。
どうしても不安が払拭できない場合は、外来の待ち時間に食べてもらうなど、ご本人が安心できる環境で摂取する機会を増やすのはいかがでしょうか。 特定原材料のうち、学校給食では、そばの提供が少なくなってきていますが、ピーナッツバターは給食で提供されることが多く、食べたいという方は多いです。このように、みんなと一緒に食べたい、好きだから食べたいという意欲が行動に結びつくことも少なくありません。まずおいしそうなものを探して動機付けを促すこと、仲間と共に食べることのメリット、楽しみ、豊かさを根気強く伝えていきたいものです。

栄養指導をしていると、加工食品に原因食品が含まれていると知らずに食べているというケースを経験します。
患者さんの喫食状況を正確に入手するための具体的な方法を教えてください。

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何を食べたのか、年齢、食べた時間、場所(家・外食・旅行先など)、食べてから症状を起こすまでの時間、そしてどんな症状が起きたかを聞いていきます。この際に一番大切なのは、同じものを食べて“複数回症状が起きているのか”です。
ある特定の食品を食べたとき必ず症状を引き起こす場合には、食物アレルギーの疑いがありますので、医師と相談をして患者さんにフィードバックするようにしています。

原因食品でも少量なら食べられる場合もあります。病歴を聴取する際、①量を制限せずに食べても無症状、②食べるとアレルギー症状がでる、③少量なら無症状で食べることができる、④食べた時に症状がでるかはっきりしない、⑤未摂取(主にお子さんの場合)という5種類に分けるとよいでしょう。③、④、⑤の場合、特異的IgE抗体の血液検査や負荷試験を実施すると、アレルギー症状がでるか否か、どの量までなら食べることができるかを明らかにすることができます。

入院中の患者さんのご家族から除去対応の要望を受けることがあります。
どうやら食物アレルギーの検査は受けておらず、今までの食経験で申告されているようです。
どのような対応やフォローをしたら良いでしょうか。

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大人・高齢者の方で2、3日の入院であれば、安全性を第一に除去対応で問題ないと思います。
ただ、小さいお子さんの場合には、今後入院したときの対処法や日々の食事への配慮も大切になってきます。お子さん自身の為にも、一度医療機関での検査をアドバイスされると良いかと思います。

入院・入所されている高齢者への除去食対応を行う際の注意点について教えてください。

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ご本人から情報が入手できる場合は、今までどのような食べ物でどのような症状が出たかなどの病歴を詳しく聞きましょう。
ご本人から聞くことが難しい場合には、入院・入所時の食事摂取状況を確認すると良いです。今まで食べられていたものは摂取可能という判断ができると思います。
また、申告される食品で「サバ」をよく聞くと思います。
魚は鮮度が落ちると、ヒスタミンという成分が魚肉中に産生されます。
このヒスタミンが原因となり、食物アレルギーと似た症状をきたす場合があります。
しかしこの場合は、魚の鮮度が原因であるため、食物アレルギーと区別する必要があります。
方法としては、新鮮な魚を複数回摂取した時の症状を確認することで、ある程度見極めることが可能です。
それでも疑わしい場合には、血液検査で魚のIgE抗体を調べましょう。

行政に勤めている管理栄養士です。
食物アレルギーのお子さんを持つ保護者の方が集まって情報交換などをする場があり、管理栄養士も参加し、サポートをしています。このような情報交換の場に参加することで、除去食への考え方や取り組み方に対して影響を与えることはあるのでしょうか。

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医療の進歩や学校給食における指針の策定、対応商品の普及など、食物アレルギーを取り巻く環境は、以前と比べ大きく変化しています。よって、同じ立場同士が集う情報交換の場へ積極的に参加し、正しい知識を獲得されることは必要だと思います。皆さんで集まってお話をすることで不安な気持ちが取り除かれ、且つ正しい情報を獲得できる大切な場であると思います。
いくつか研究されていますが、保護者の方の心情が食物の解除に影響するということはあるようです。 不安な気持ちから視野が狭くなってしまい、いずれの方のアドバイスをなかなか受け入れられないという方もいらっしゃいます。そのような場合には栄養士の他に、臨床心理士の方や看護師など他職種の専門家からのお声がけも有効です。「食べられるようになって欲しい」という思いで一生懸命に指導される医師に対して、ご本人は「食べたくない」といった気持ちがあれば一方的な会話になってしまい、関係が硬直してしまいます。そこで、医療関係者ではなく、食物アレルギーを持つお子さんを持っているという共通の土壌にいる方と話し、悩みを分かち合うことで、気持ちが緩やかになったというお話を耳にします。様々な立場の方からのアドバイスのうち、ひとつでも心が寄り添えることがあればよいかと思います。もう1つは「結論を急がない」という事です。食事ばかりでなく、日々の生活のお話なども交えて、暖かく「何でも話せる場」を提供していくこと、長い目でご指導されるお気持ちが大事かと思います。

「特定原材料を使用していない」と、「特定原材料を含まない」の違いを教えてください。

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「特定原材料を使用していない」とは、原材料が特定原材料不使用であることを意味します。
「特定原材料を含まない」とは、たとえ原材料に「特定原材料を使用していない」ものであっても、製造中に特定原材料が意図せず混入(コンタミネーション)した場合、ごく微量特定原材料が含まれることを考慮します。容器包装された加工食品では製造者が混入防止対策を行いますが、排除できない場合には注意喚起表示がなされることが一般的です。
しかし、食品表示法の適用外である外食や対面販売の場合は別です。例えば小規模販売店では、厨房がアレルギー対応仕様でない場合、原材料に小麦を使用しない製品を作っても、製造中に空気中に飛散した小麦や器具類から混入が起こることがあり、全く「特定原材料を含まない」ことを保証できません。ごく微量で症状が誘発される場合は注意が必要です。

病院で栄養士をしています。牛乳アレルギーのお子さんがいるご家庭では、家族全員が牛乳を除去されています。このような場合、どのようにアドバイスしたら良いか教えてください。また、アレルギー用ミルクに年齢制限はあるのでしょうか?

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ごく微量で発症してしまうような牛乳アレルギーの患者さんがいる家庭では、牛乳を全く使用しないということがあります。ごく微量で発症してしまう患者さんの場合には、ご家族による協力も必要になることがあります。

アレルギー用ミルクの飲用に年齢制限はありません。食物アレルギーの栄養指導の手引き2017では、牛乳アレルギーが利用できる粉乳に大豆タンパク質を素材にしたミルクが加えられました。年齢が上がっても比較的飲みやすいので試されるとよいかと思います。牛乳の代表的な代替食品として豆乳を利用されることが多いと思いますが、豆乳のカルシウム含量はアレルギー用ミルクに比べて1/4~1/7程度です。カルシウム不足を食事で補うには、サクラエビや切り干し大根、ひじき、しらす干しなどの常備できる食材を組み合わせて、お好み焼きや炒め物、ごはんなどに混ぜて摂取いただくようご指導いただけると良いと思います。

「授乳・離乳の支援ガイド(2019年3月改訂)」に生後5~6か月頃から卵黄を試すように示されています。具体的な卵の進め方について教えてください。

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アトピー性皮膚炎の症状がない場合は、「授乳・離乳の支援ガイド(2019年3月改訂)」に記載に従って、生後5~6か月頃からお粥、野菜を開始し、慣れてきたら加熱卵黄を少しずつ試しながら食べていき、問題なく食べることができたら、加熱全卵へと食べ進めるようにしましょう。
肌荒れや乾燥がある乳児の場合、アトピー性皮膚炎の可能性があります。その場合、卵などの食物にアレルギーを発症するリスクがありますので、まず専門の医療機関で診察を受けてから試すようにしてください。
・「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年3月改訂)厚生労働省

魚アレルギーについて教えてください。保育園の給食では全ての魚類を完全除去していただいています。自宅では食べさせた方が良いでしょうか。

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魚アレルギー患者は複数の魚種にアレルギーを起こすことが知られていますが、特定の魚種はたべられることがあります。保育園では、園児が既に食べられる魚種があっても、安全性を第一に考え、完全除去対応になることが多いです。魚アレルギーはアレルゲン性と生物学的分類が一致していないため、分類上かなり離れている魚に対してもアレルギーを起こすことがあり、除去の範囲を判断することが難しいからです。しかし、ほとんどの魚アレルギー患者でも、ツナ缶やカジキが食べられます。また、ツナ缶にはビタミンDが含まれていますので、くる病の予防に役立ちます。既に無症状で食べることができる魚類や魚製品については、自宅で通常通り食べていただきたいと思います。

妊娠・授乳中の母親における予防的除去は推奨されていないとのことですが、症状を発症した場合、母親自身の摂取量は制限した方が良いでしょうか。 バターロールを食べた後に授乳したところ、症状が出たため除去しています。アトピー性皮膚炎も発症しています。

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医師による診断が必須ですが、母親の食物除去が必要なケースは限られると思います。主治医からの指示がなければ通常摂取でかまいません。自己判断は不安かと思いますので、バターロールを摂取してどれくらいで症状誘発があったか、たびたび起こるのか、など詳細な経過を主治医に伝え、今後の食生活について相談されるとよいと思います。また、アトピー性皮膚炎は食物アレルギーに関与する場合とそうでない場合があります。その点についても相談をされて、スキンケア等について指導を受けるとよいでしょう。
乳児にアトピー性皮膚炎など皮膚のバリア機能の低下がある場合、環境中に存在する卵やピーナッツとの接触曝露により食物アレルギーを発症するリスクが高まることが研究によって証明されています。乳児が環境中のアレルゲンによって既に食物アレルギーを発症している場合は、母乳中に含まれる卵などのタンパク質に反応して口囲を中心に接触性蕁麻疹を起こす可能性があります。
皮膚のバリア機能の低下がある場合、母乳に含まれるアレルゲンが乳児の湿疹部分に付着し感作される可能性もあります。我々は顔面に湿疹や乾燥などがみられる乳児には、局所にワセリンなどの外用薬で保湿した上で授乳や食事をするように指導しています。

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園・学校などでの対応について

保育園で栄養士をしています。
花粉症を持った園児がいるのですが、加熱や加工処理された果物でも食物アレルギーを発症するのでしょうか。

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一般的には、加工された果物・野菜については、アレルゲン性は下がりやすいと言われていますが、一部の果物(モモやパイナップルなど)では、アレルゲン性が下がりにくいものもあります。
例えばモモやパイナップルの中には、熱などの加工に対して安定な成分と不安定な成分とがあります。患者さんが加工や熱に不安定な成分に対して反応している場合は食べられますが、安定な成分に対して反応している場合は、缶詰でも食べられないということになってしまいます。
果物・野菜のどの成分にアレルゲン性があるのか、研究が進められていますが、現時点では、病歴と経口負荷試験を実施して食べられる食品を確認していきます。

研究により、花粉症と関係のある果物が明らかになってきています。
症状を引き起こす頻度の高い果物としては、バラ科の果物(モモ、サクランボ、リンゴ)やキウイフルーツです。果物の中でもみかんは発症頻度が低い傾向にあります。このように発症頻度の低い食品を使用して、少しでも多くのお子さんが食べられるように工夫されると良いと思います。
また花粉症の症状がひどくなった場合には、必ず保護者の方から連絡してもらうようにお伝えする事で、園での対応もしやすくなると思います。

保育園に勤めています。
ピーナッツとアーモンドは食べられるのですが、マカダミアナッツやカシューナッツを摂取するとアレルギー症状をきたしてしまうとのことで保護者から相談を受けました。このような場合の具体的な指導方法やフォローの仕方について教えてください。

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ピーナッツやマカダミアナッツ、アーモンドなどを纏めてナッツ類と呼んでいますが、植物の分類上で見ると各々異なります。また、必ずしも全てのナッツで交差反応を引き起こす訳ではありません。血液検査(特異的IgE抗体)や経口負荷試験を行い、それぞれ個別に確認します。
基本的には、ピーナッツが摂取できない場合はピーナッツのみ、マカダミアナッツが摂取できない場合はマカダミアナッツのみを除去します。異なるナッツ同士で交差反応を引き起こし、症状を誘発される方もいらっしゃいますが、稀です。
特にゴマは学校給食で頻繁に使用される食材ですので、小学校に入学するまでに食べられるかを確認しておく、ということも大切です。
保護者の方との面談の際にはナッツ類を一括りにせず、給食で使用されるナッツ類を中心に、個々の摂取状況を聞いておかれるとよいかと思います。

保育所で栄養士をしています。
えび・かにアレルギー児が入所しています。注意喚起表示に「えび・かに」に関する記載をよく見かけるのですが、給食ではどのように対応したらよいでしょうか。

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注意喚起表示に記載のある食物は、食品製造上、意図せず入ってくることがある(いつもではない)程度で、原材料ほどには含まれていませんので、最重症を除き摂取できます。エビやカニが注意喚起に記載されている加工食品を食べたことがあるか確認してもらいましょう。それが難しいのであれば、除去対応が必要かどうかを医師に確認されるようにご指導いただくと良いかと思います。

保育園で栄養士をしています。
食物経口負荷試験により完全解除となった後に、再び症状を発症してしまうことはあるのでしょうか。また、除去から完全解除になった園児に対して、気をつけることや配慮すべき点はありますか。

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小麦の場合の解除の目安は、年齢によって異なりますが、一般的に1食分と言われている「うどん200g」を十分量(フルドース)とし、摂取時の症状の有無で判断します。重要なのは、たとえ1食分が摂取できた場合でも、運動・入浴・胃腸炎・生理などが加わることで、今まで摂取できていた量よりも少量で発症する場合もあるということです。そのため、解除を検討する際には、以下のステップを踏んで確認する必要があります。
① うどん200g摂取可能であっても2分の1(100g)での摂取から始める
② ①で症状がでなければ200gへ増量
③ ②においても無症状であれば、200g摂取後に運動や入浴をなど行い、症状の有無を確認
④ ③で症状がでないことが確認できたら、完全解除
このように、十分量と症状が誘発されやすい状況下であっても症状が出ないことを段階的に確認してから、家庭や園・学校での完全解除をします。ただ、解除になったとしても、対象食物の摂取を拒む児もいます。この場合、食べることが大きなプレッシャーになることがありますので、ご家庭で抵抗なく食べられるかどうかをきちんと確認してから解除することが重要です。また、牛乳の場合では、200mlの摂取だけでなく、200mlの牛乳+チーズ1枚を摂取した際の症状の有無を確認するようにします。給食では、献立の中に、牛乳の他に乳を含むメニューが出る場合がありますので、慎重に確認することが求められます。
このように、家庭で問題なく解除できていることと、上記の各ステップでの条件がクリアできている場合に限り、園・学校でも解除可能であることを面談などでご指導いただけると良いかと思います。同時に、家庭での解除と園・学校での解除とでは開始時期がずれることも理解して頂くことが大切です。

卵アレルギー児に卵殻カルシウムを使用することはできますか。

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卵殻カルシウムには、焼成と未焼成の2種類あります。焼成は高温で加熱しているため、たんぱく質の残存はみられません。
一方、未焼成には卵のたんぱくが検出されますが、ごく微量です。
よって焼成、未焼成ともに、基本的には卵アレルギー児にも使用できます。

園での除去対応が解除になる場合、生活管理指導表の提出は必要でしょうか。血液検査の結果がクラス2~3という園児の場合だと解除の判断が難しく、解除のタイミングを逃しているのではないかと心配です。

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生活管理指導表は、1年ごとに提出することが原則です。中には提出後1年の間で耐性を獲得し摂取可能になったが、除去対応のままというケースもあると思います。そのようなケースを極力避けるため、文書あるいは口頭での変更届で対応可能とするなど、柔軟に対応できる体制を整えておくと良いでしょう。ただしその場合には、医師による診断が前提であることをご指導ください。生活管理指導表は有料の場合が多く、何度も提出するとなると、経済的負担が増えてしまいます。負担軽減のためにも、生活管理指導表以外でも対応できる方法をとって頂きたいと思います。
また、特異的IgE抗体を調べる血液検査だけでは最終判断とできず、経口負荷試験を実施しないと、解除の可否を判断できない場合が多々あります。

ご家庭での摂取状況に合わせた給食対応をしています。「学校給食における食物アレルギー対応指針」では“提供するかしないか”の二者択一での対応が原則とのことですが、現在の給食対応でも問題ないでしょうか。

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学校給食では、「安全第一」を優先するため、“完全除去かあるいは完全解除”での対応を原則としています。例えば、加熱卵の摂取が可能な児と不可の児がいると、配膳ミスのような事故が起きやすくなります。また、園や学校では給食スタッフが交代するので調理や配膳での事故が起きやすくなります。従って「安全第一」を基本とした作業の単純化が推奨されています。病院での給食も同様です。 また、完全除去・完全解除での対応の問題点は食のQOLの低下です。代替食が提供されると食物アレルギー児の食のQOLを維持することができます。まだ自治体によっては代替食対応をしていないところも多いのが現状です。代替食対応が増えていくことが期待されます。
「学校給食法」で定められている通り、給食は教育の一環として重要な役割を担っています。そのため、出来る限り対応されるのが望ましいのですが、施設設備や人員などを鑑み、安心・安全な給食提供を優先とし、無理の無い範囲で対応するようにしましょう。また、対応出来ることと出来ないことは、保護者の方にしっかり情報提供することが大切です。
食物アレルギーの子供さんも含めて、より多くの子供さんが食べることができるメニューを工夫してほしいものです。例えば“20分以上加熱した卵のみを提供する”といった調理に関するルールを作るのも1つの方法かと思います。
例えば、加熱卵の摂取が可能であれば、かまぼこやちくわなど卵を含む加工食品は使用できます。しかし、かきたま汁のように加熱卵よりも加熱が不十分で、半熟部分が残る料理ですと、加熱卵が摂取可能であっても、症状が誘発される患者さんがいます。多様な形態や食数の多い保育所では、細かい対応をせざるを得ないこともありますが、対応食の種類や作業をできるだけ少なくして現場の負担を減らすことが、安全第一の基本かと思います。

学校給食の栄養士をしています。
牛乳アレルギー児については、「代替食品持参」対応をしていますが、代替品にすることで、カルシウムやエネルギーなどの栄養素不足が心配です。

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牛乳の代わりとして豆乳や果汁100%ジュースを給食に持参するケースが比較的多く見受けられますが、必ず飲み物で対応しなくてはいけないという訳ではありません。
例えば、品数や量を増やすなどして、不足しがちな栄養素を補うのも1つの方法です。
「学校給食における食物アレルギー対応指針」にも明記されていますが、給食で決められた栄養素を給食の時間に補おうと敏感になり過ぎず、家庭でも補うといった柔軟な気持ちと対応も必要です。
また、カルシウムを補う方法としてはカルシウムとビタミンDが添加されている豆乳も市販されています。
上手に加工食品を取り入れていきましょう。

・「学校給食における食物アレルギー対応指針」文部科学省

学校で栄養教諭をしています。
生活管理指導表をもとに給食対応を行っています。過去のアレルギー症状と疑わしい既往歴から、保護者の自己申告の内容を記載した指導表が提出されるケースが見受けられます。このような場合、学校ではどのような対応をしたらよいでしょうか。また、重度な食物アレルギーを持つ児童の場合、給食当番についてはどのように指導したらよいか教えてください。

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確かに、過去の既往歴や自己申告などにより、食物アレルギーだと思い込んでしまっているケースは多いと思います。食物アレルギーの疑いがある方を対象に食物経口負荷試験等で確認をしてみたところ、食物アレルギーと診断された方の人数は約10分の1程度であったという調査結果が報告されています。正確な診断を知るために重要なのは、食物経口負荷試験での確認です。生活管理指導表は、医師が記入するものですが、記載された内容によっては学校側が対応に戸惑ってしまうというケースも見受けられます。生活管理指導表には、「保護者と相談し決定」という欄が設けられています。面談の中で、保護者と園・学校との間で答えを導き出していくことも1つかと思います。もうひとつの方法は、食物アレルギーに詳しい医師も参加する委員会の設置です。指導表の内容は本委員会で検討をし、委員会と主治医とで指導表を確認し合あえるような体制作りが大変有用です。実際に検討委員会が導入されている自治体もあります。このように、正確な情報を基に適切な対応が行えるような仕組みつくりも検討されると良いかと思います。
園・学校での給食当番対応ですが、学校によって対応は様々です。牛乳アレルギーのお子さんの症状の程度によって給食当番で牛乳の配膳はしない、または制限して対応されているということも実際にあります。まず大切なことは、ご家庭でどのような生活を送っておられるかを聞かれることだと思います。原因食物に触れた場合、あるいは摂取した場合などの対応については、保護者の方がしっかり把握していらっしゃると思いますので、面談などでお話を聞くようにしましょう。学校での対応内容は、ご家庭内での対応状況を参考にします。日常生活で不自由になりすぎない程度にし、且つ症状を誘発するリスクの高い事項については、対応委員会等で話し合い共通認識をもったうえで、最終的に学校が判断されると良いと思います。

卵アレルギーの申告がある生徒がおり、給食では除去食対応をしていますが、摂取後に発症したという病歴はなく、食物経口負荷試験は実施されていないそうです。
学校栄養士として、どのように指導をしたら良いでしょうか。

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特異的IgE抗体価が高ければ、発症の確率も高くなりますが、抗体価が高くない場合には、発症に関する予測は出来ません。今回のケースは、血液検査が陽性であった可能性も考えられます。これまでの病歴から十分量摂取しても無症状との事であれば、除去は必要ないと思います。
一方、低年齢の場合は、未摂取というケースがあります。この場合、特異的IgE抗体価がクラス2、3であれば、食物経口負荷試験を行って確認をします。もう1つの方法は、①量を制限せずに食べても無症状、②食べるとアレルギー症状がでる、③少量なら無症状で食べることができる、④食べた時に症状がでるかはっきりしない、⑤未摂取という区分に分けて確認すると良いと思います。③や④、⑤の場合では、特異的IgEと経口負荷試験で食べられる量を確認することになります。ご本人の日常での摂食状況が①~⑤のどこに当てはまるかを確認することで、経口負荷試験の必要性も含めて、摂取可能な量を推測することができます。

食物アレルギー対応食を提供している児童がいます。食物経口負荷試験は未実施のまま完全除去をしているようです。医療機関への受診を促すための指導方法があれば教えてください。
また、生活管理指導表が未提出の場合での給食対応について、アドバイスを頂けないでしょうか。

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生活管理指導表は1年に1回提出することになっています。その作成の際に内容の見直しもお願いすると良いのではないでしょうか。また、小児アレルギーの専門医が加わった食物アレルギー委員会を設置するというのも1つの方法です。委員会と主治医とが連携を取り合える体制を整えるというのも良いかと思います。 一方、生活管理指導表が未提出の場合には、安全第一という観点から、お弁当対応ということもやむを得ないと思います。
いずれにしても、保護者と面談を行う際には家庭での喫食状況を詳しく聞き、保護者の方とよく相談しながら対応を決めるようにしましょう。
すべての患者さんに対して経口負荷試験が必須ではありません。医師による診断がなされているかが重要だと思います。「学校給食における 食物アレルギー対応指針」で示されている通り、生活管理指導表の提出は必須です。栄養士だけでなく、担任の先生や校長先生、教育委員会など学校対応に関わる全ての方と連携して普及に努めていく事が必要です。

・学校給食における食物アレルギー対応指針(PDF)

保育園給食において、保護者からアレルギー対応食の提供を希望されることが多くなってきました。具体的な給食対応について教えてください。

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園・学校の約7~8割において誤食事故が発生しているという調査結果が報告されています。園・学校での食物アレルギー対応は、「安全」を最優先することが原則です。そしてこの「安全」を確保するために大切なのがマニュアルです。厚生労働省や文部科学省より食物アレルギーに関するガイドラインや指針が出されています。各都道府県では、これらのガイドラインや指針を参考にマニュアルを作成していますので各自治体のマニュアルを参考にされると良いと思います。マニュアルを作成する際は、各給食施設の設備や人員など諸条件に見合った方策を取り入れるようにしましょう。また、食物アレルギー委員会を設置して組織的に進めていくのも良い方法です。
生活管理指導表は医師によって記載されることになっていますが、これに基づき対応方針を決定します。生活管理指導表の記載内容を基に、保護者と話し合いをして対応を決めていくことになります。
次に、食物アレルギー児に提供される給食対応や誤食事故を防ぐ留意点を解説します。
食物アレルギー対応給食の種類
1.献立表対応;原材料を記載した献立表を保護者に配布し、患児が食べることができないと保護者がチェックした料理を提供しない対応。しかし、この対応だけでは食べることができる献立が減ってしまうので、代替食や弁当による対応を組み合わせるべきです。
2.弁当対応;給食を全く食べずに持参した弁当ですべてまかなう「完全弁当」と、食べることができない一部の献立の代わりに弁当で補完する「部分弁当」があります。
3.除去食対応;調理の過程で原因の原材料を取り除いた給食、あるいは、単品の牛乳や果物を除いた給食を提供する対応。
例;卵わかめスープで卵を加える前のわかめスープ。つなぎの鶏卵を使用しないハンバーグ。
4.代替食対応;除去した原材料の代わりに患児にとって安全な原材料を用いた献立を提供する対応。
例;牛乳の代わりに豆乳ジュース。卵わかめスープの代わりにコーンスープ。

給食は安全性が優先されます。食物アレルギーを有する子どもへの食対応については、安全への配慮を重視し、できるだけ単純化し、「完全除去」か「解除」の両極で対応を開始することが望ましいとされています。 しかし、この完全除去対応は、除去食・代替食が提供されないと弁当持参が増え、食物アレルギー児のQOLを下げかねません。除去食・代替食が提供されるべきです。
除去食・代替食の応用として、共通献立メニュー(表)を取り入れる園や学校が増えています。非食物アレルギー児用も食物アレルギー児用と同じ献立、あるいは、各アレルゲン対応ではなく、在園する食物アレルギー児全員が食べることができる献立のような、より多くの園児が食べることができる除去食・代替食にします。これによって給食の調理・配膳を単純化できるので誤食事故を減らすことができます。

表1 給食の共通献立メニューの例 *非食物アレルギー児用も食物アレルギー児用と同じ献立
(1)必ずしも必要ではない少量の鶏卵・牛乳・小麦・大豆は原材料に使わない。
例;つなぎに鶏卵を使わないハンバーグ、脱脂粉乳を入れないカレールウ
(2)アレルゲン不使用食品を使う。
例;アレルゲン不使用カレー、ノンエッグマヨネーズ
(3)そば、ピーナッツ、カシューナッツ、ココナッツ、アーモンド、くるみ、キウイフルーツは提供しない。
(4)パンは週1回とし主食を米にする
(5)鶏卵は固ゆで卵とそれに相当する加熱調理する献立だけとする。
(6)鶏卵を使わない献立。
(7)鶏卵、小麦、牛乳を使わないデザート。
(8)鶏卵、小麦、牛乳、エビ、カニ、ピーナッツ、そばを使わない給食を月数回提供。
(9)在園する食物アレルギー児がアナフィラキシーのような重篤な症状を起こす場合、その原因原材料は使わない。
*食物アレルギー児用給食での対応
(1) 通常献立とアレルギー対応献立の 2 種類とする。
(2) アレルギー対応献立は各アレルゲンに対応する献立ではなく、在園する食物アレルギー児全員が食べられる献立とする。

・「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」 厚生労働省
・「学校給食における食物アレルギー対応指針」 文部科学省

緊急時の対応方法についても決めておくとよいです。園・学校において誰がどのような対応をするのか、どこの医療機関(医師)に受診・搬送するのか、医療機関までの所要時間はどの程度なのかなどを具体的に把握しておき、確実に対応できる体制を整えることと、そして全職員が共通認識を持った上で対応されることが大変重要です。マニュアルを作成することが望ましいので、東京都の緊急時マニュアルを参考にされるとよいかと思います。対応を行っていくにあたり、ヒヤリハット事例が生じることもあります。原因の把握と見直しが大切です。事例の記録と各施設間での情報共有を行います。その際には栄養士だけでなく、関わる全ての方と検討されることが望ましいです。

・東京都福祉保健局食物アレルギー緊急時対応マニュアル

こども園で栄養士をしています。食物アレルギーの有無に関わらず、“皆で一緒に”食べられる給食献立として和食は優れていると感じています。和食と食物アレルギーの発症予防の関係性について、エビデンスなどがあれば教えてください。

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和食と食物アレルギーの発症予防の関係性についてのエビデンスは残念ながらありません。しかし、和食は生活習慣病の予防・改善といった健康増進という意味において優れている料理であることは分かっていますので、献立に和食を取り入れることは良いことだと思います。アレルギーマーチの予防という視点からも、湿疹コントロールのみで食物アレルギーの発症を防げるかというと、現時点では十分なエビデンスは得られていません。幼児の花粉症が喘息に移行するという現象があります。抗原特異的免疫療法を行うことで喘息への移行を予防できたという結果が示されていますが、発症予防に関しては今後の十分な検討が必要です。
離乳食についても、以前は消化機能が未発達の時期での原因となりやすい食品の摂取は遅らせた方が良いという考えがありましたが、現在では否定されています。“心配だから”という理由で離乳食を遅らせる必要はありません。「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」を参考に進めていきましょう。

・「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)」厚生労働省

注意喚起表示について教えてください。また、給食で使用する加工食品に注意喚起表示がされている場合、どのように対応すべきでしょうか。

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食品を製造する過程においては特定原材料等の意図せぬ混入を防ぐため、製造ラインや製造工場内の十分な洗浄や製造工程の管理などの対策がとられています。しかし、混入防止対策を徹底していても、意図せぬ混入が避けられない場合に限り、原材料欄外で注意喚起表示を行うことが認められています。多くの食物アレルギー患者さんでは、注意喚起表示がなされている食品の除去は必要ないことがほとんどです。 一方、注意喚起表示のある加工食品の除去が必要な場合、園・学校で給食対応することは勧められていません。「学校給食における食物アレルギー対応指針」に示されている通り、最優先は“安全性”という考え方から、微量混入への対応が必要な最重症の方には、お弁当対応を検討されると良いと思います。

・「学校給食における食物アレルギー対応指針」

保育所で栄養士をしています。栄養素の不足を防ぐため、給食では代替食を提供しています。食数が多いため、見た目も考慮した給食提供は難しいですが、今後も代替食対応を続けるべきでしょうか。
また、血液検査の結果がクラス0に達するまで除去食対応を希望される方がいます。このような場合、除去食提供を続けるべきでしょうか。

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血液検査で抗原特異的IgE抗体価がクラス0になるまで完全除去を続ける必要はない患者さんが多いと思います。特異的IgE抗体価だけでは除去を解除できるかは判断できません。食物経口負荷試験で解除できるか確認する必要があります。除去食・代替食は栄養補完と楽しい給食のために大切なことです。ぜひ、継続して下さい。
保育所での代替食対応を希望される方は多く、実際に実践されている施設も少なくないかと思います。それぞれの施設や人員等を鑑みて過度な負担にならないよう、安全が担保された上での代替食対応を検討されると良いと思います。代替食対応は、提供数が多くなると現場への負担も大きくなります。私たちの調査では、調理担当者1人が4種類以上の給食を抱えると負担を感じるということが明らかになっています。

保育園で栄養士をしています。園の給食では、生活管理指導表に基づき未摂取の食品は提供していません。例えば特定原材料等でない“野菜”について未摂取の申告があった場合、どのような給食対応を行ったら良いのでしょうか。

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園での給食提供は新規発症を防ぐという観点から、家庭で摂取していない食品は給食でも提供しないというのが原則です。給食で提供する場合には、事前にご家庭で摂取していただくか、アレルギー症状が出る恐れがある食品は医師に相談するように指導して下さい。生活管理指導表を保護者に渡す時に、園で提供される食品と提供されない食品の一覧表を添付することをお勧めします。医師は、これを参考に、抗原特異的IgE抗体検査や経口負荷試験の計画をたてることができます。指導表には「保護者と相談し決定」*という欄があります。園内での具体的な対応方法は保護者との面談の中で確認されると良いと思います。

*2019(平成31)年4月に厚生労働省から発刊された「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」ではE.特記事項の欄に「その他に特別な配慮や管理が必要な事項がある場合には、医師が保護者と相談のうえ記載。対応内容は保育所と保護者と相談のうえ決定」と変更されています。

学校で栄養教諭をしています。血液検査や食物経口負荷試験が未実施の状態で生活管理指導表が提出されることがあります。このような場合の給食対応はどのようにしたら良いでしょうか。また、保護者の方へのアドバイスの仕方を教えてください。

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生活管理指導表とは別に、家庭での摂取状況を把握するためのツールとして、食事摂取状況表を作成されると良いと思います。日々の食事状況を把握することで、給食提供の可否をある程度判断することができます。食事状況摂取表を作成する際には、給食で提供される食品をもらさないことがポイントです。食べることによって異常な症状の出現が疑われる場合は、医療機関でアレルギー検査をうけるようにアドバイスして下さい。血液検査は多くの医療機関で実施可能ですが、食物経口負荷試験は食物アレルギーに詳しい医師がいないと実施できません。食物経口負荷試験の実施施設は、「食物アレルギー研究会」のホームページで確認することができますが、診療所までは掲載されていません。医療機関のホームページで検索するのも方法です。

・食物アレルギー研究会

「学校給食における食物アレルギー対応指針」では安全第一が原則とのことですが、本人の心に寄り添い、可能な限り充実した給食を提供したいと思っています。先生方のお考えを聞かせてください。

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食のQOLを考慮した給食提供が大切です。完全除去(提供するか・しないか)による対応だけでなく、除去食・代替食の提供もぜひ実施して下さい。
また、保護者に献立表を事前チェックしてもらい、摂取可能な料理と不可の料理を区別してもらい、それに基づいて給食を提供します。料理に使われる原材料が判読しやすい献立表を作って下さい。例えば、使用する原材料を一つの欄に纏めて記載してしまうと、どの料理にどの原材料が使用されているか分かりません。原材料は料理ごとに分けて記載して、保護者が一目で判断できるようにします。また、献立表にチェックやコメントなどを記入した場合は、原本のコピーを関係者全員が使用するなど情報漏れを防ぐ工夫も大切です。

近年の業務用食材では、卵・乳・小麦不使用のものが増えています。そのような食品を実際に学校給食で使用しているという施設も多く、作業負担が減って考えやすくなったという意見をお聞きしています。社会全体が食物アレルギーへの認識を高めてくださっているのではないでしょうか。保護者の皆様へは、このような社会の動きに支えられて安全提供を目指して対応を行っていることを情報提供されると良いと思います。学校給食で一番大切なのは、安全な給食提供です。安全が担保できる範囲で対応を考えて頂ければ良いと思います。

保育園で栄養士をしています。 卵・乳・大豆アレルギー児が入園しています。加工食品に原因食物が使用されていない場合でも、同一の製造ライン上で原因食物を使用している旨の記載がある加工食品については、提供しないようにしています。対応方法として問題ないでしょうか。

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多くの食物アレルギーの患者さんは、微量のコンタミネーションであれば食べることができます。原因となる食品が欄外表示の注意喚起(例;同一の製造ラインで鶏卵がつくられています)に記載されている場合でも、その加工食品を除去しなければならない患者さんは極微量の原因食品でも発症する患者さんと言えます。先ずは、食物アレルギーの園児が本当に微量のコンタミネーションによって症状が誘発されるかを確認することです。家庭での食事状況を聞き、欄外の注意喚起に原因食品が記載されていても無症状で食べているならば、微量の原因食品は除去しなくても良いということになります。つまり、同一の製造ラインで原因食品を使用している旨の記載がされていても、その加工食品は提供してもよいことになります。
しかし、微量の原因食品でも発症する患者さんは稀ですがおられます。そのような患者さんは、園での調理段階で避けられない微量のコンタミネーションでもアレルギー症状が誘発されるおそれがあります。家庭からの弁当持参も考慮しなければなりません。


医師の指示がなければ、注意喚起表示については考慮しないことが多いかと思います。また、注意喚起表示は製造者の任意表示であるため、表示がされていない加工食品もあることも留意されてください。実際の対応については、注意喚起表示を選択回避する作業、素材を選んで皆が食べられる手作りにする作業など、現場の負担やリスクをより低くする工夫を検討され、取り組まれると良いかと思います。

小学校で栄養教諭をしています。本校には乳糖まで除去しなければならないアレルギー児が在籍しています。食数が多い給食施設のため、アレルギー専用スペースの設置は困難です。給食対応について、保護者の方へどのようにお伝えしたら良いでしょうか。

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乳糖に含まれているたんぱく質は、2~3㎍/g程度です。さらに、加工食品中に使用される乳糖は1gよりも少量ですので、極微量でも症状が誘発されることが予想されます。アレルギー対応区分がなされていない給食現場では、コンタミネーションが避けられず、安全確保ができないということをご説明いただくと良いと思います。具体的な数値もお示しされると良いと思います。

乳糖1gには数マイクログラムの乳たんぱくしか含まれていません。ほとんどの牛乳アレルギー患者でも、乳糖は無症状で摂取できます。本当に乳糖まで除去しなければならない患者さんか確認する必要があります。食物アレルギーに詳しい医師と相談するようにアドバイスするとよいと思います。一部の牛乳アレルギー患者は乳糖でもアレルギー症状が発症します。このような患者さんは、園や学校での調理で起こりうる乳成分のコンタミネーションでもアレルギー症状が発症するおそれがあります。つまり、園・学校から提供される給食では安全が担保できないということになります。患児の安全確保のために家から弁当持参もやむを得ないと言えます。

学校で栄養士をしています。卵アレルギー児の保護者面談の際、「給食で提供している卵は十分加熱をしています」と説明した上で給食対応を決めています。給食で卵を提供するか否かの判断基準があったら教えてください。

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鶏卵のアレルゲン性は加熱の程度、量、卵白と卵黄かどうかで決まります。かきたま汁も十分な加熱と定義している園・学校が多く見受けられます。かきたま汁は固ゆで卵と比べると加熱の程度が弱く、固ゆで卵よりアレルゲン性は強いといえます。医療機関で行われる経口負荷試験は固ゆで卵で行われるところが大多数です。固ゆで卵経口負荷試験陰性あるいは固ゆで卵まで摂取できていても、それより加熱の程度が弱い鶏卵までは摂取していない児であれば、固ゆで卵相当の加熱鶏卵料理までにして下さい。給食では生卵は提供されません。かきたま汁まで摂取できておれば、給食で提供される鶏卵料理は摂取可能です。

指導表の指示に従って頂くことが前提かと思います。鶏卵の場合は、加熱の程度と摂取可能量は重要になります。集団給食の衛生管理では、75℃1分以上の加熱が義務付けられていますが、鶏卵アレルギー患者さんによっては十分な加熱とは言えないときもあります。面談の際、「かきたま汁はご家庭で食べておられますか」と具体的な料理名でお聞きになると良いと思います。また、摂取量では、オムレツのように卵を一度に1個以上摂取するような料理は注意が必要です。さらに体調の変化などでも症状が誘発されることもありますので、安全担保を第一に、提供をするかしないかの二択で考えられるとよいかと思います。

「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」では、未摂取食品は給食提供しないことが原則とされています。提供可能な食品が限られてしまうことで栄養素の不足を心配される保護者の声が多いです。このような場合、どのようにアドバイスすれば良いでしょうか。

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ご家族や親族に食物アレルギーをお持ちの方は食物に対する関心が高く、敏感です。そのため、自己判断で卵を除去されている方もいらっしゃいます。しかし食物アレルギーの発症は予測することができません。摂取食品数が多くなると栄養素バランスも整ってきやすいものです。医師から指示された原因食物以外は、「少量から食べることを始めてみましょう」とアドバイスされると良いと思います。また、食べ物をよく知らない、料理が苦手、興味が沸かないなど、悩みは人それぞれです。患児さんの健やかな成長と早期に通常の食生活となることを目指し、食育・支援も含めた個別の摂取指導が大変重要と思います。

・「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」 厚生労働省

完全除去の給食を提供していますが、コンタミネーションが心配です。調理場での管理ポイントについて教えてください。

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食材料に原因食物を使用しなければ、症状の出るリスクを大きく下げることはできますが、給食の作成過程で生じる意図しない混入(コンタミネーション)は完全にゼロにすることはできません。コンタミネーションへの配慮が求められる食材料として、粉体の小麦粉やスキムミルクなどがあります。目には見えにくいですが、ごく微量、空気中に舞い混入が起こる可能性があります。基本的に対応給食と通常食を同じ調理場(厨房)で作成する際は、時間差を設けて作成する、調理区域を分けて別作成するなどの工夫をします。このような対応が難しい場合には、対応食は作成後すぐにラップをする、冷蔵庫等に入れるなどの作業が必要です。その際は取り違え等がなきよう、シンプルな動線をこころがけると良いと思います。なお、揚げ衣に原因食物を使用する場合には、揚げ油で対応食と通常食の共用は避け、別調理が望ましいでしょう。

校内でアナフィラキシーが発生した場合の対応方法について教えてください。

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生活管理指導表を基に、日頃から保護者と連絡先や処方薬について確認しておきましょう。東京都福祉保健局の『食物アレルギー緊急時対応マニュアル』が参考になります。 アレルギー症状が軽度であり、アナフィラキシーに至ってなければ、抗ヒスタミン薬などの内服処方がある場合は、まず投与してください。効果は30分程度で現れてきます。 アナフィラキシーを発症した場合はエピペン投与が必要です。エピペンの使用については、「食物アレルギー緊急時対応マニュアル『B-1緊急性が高いアレルギー症状』」が参考になります。エピペンを携帯している児童の場合、13項目からなる緊急性が高いアレルギー症状の中で1項目でも当てはまればエピペン投与の適応です。
エピペンの製剤は、体重が15㎏以上30㎏未満の場合と、30㎏以上の場合の2種類あります。アナフィラキシーの出現から30分以内に医療機関を受診できる場合は1本で良いですが、30分以上かかる場合は2本処方されることもあります。エピペンの投与からしばらくたつと、一度症状が落ち着いた患者にアナフィラキシーが再発することがありますので、緊急性の高い重症な症状がみられる場合にはエピペンの投与と同時に救急車要請を行ってください。
・「食物アレルギー緊急時対応マニュアル『B:緊急性の判断と対応』」東京都福祉保健局

在籍数80名のうち、卵と牛乳アレルギー児が3名います。加工食品は牛乳、卵不使用のものを使用し、牛乳アレルギー児には豆乳を提供しています。安全を第一優先に全員、卵不使用の給食を提供するようにしています。献立作成時の注意点を教えてください。

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全卵を除去することによって不足しやすい栄養素はタンパク質ですが、代替食品として肉類や魚介類を取り入れて、保育所の給与栄養目標量に達していればほぼ問題ないと思います。あわせて、卵黄に含まれる鉄やビタミンDの摂取状況にもご配慮ください。また、代替摂取に牛乳を豆乳に変更して牛乳を用いない給食にすると、カルシウムが十分に摂取できない可能性が高いです。他の食材を用いたカルシウム補充のための代替の工夫が必要です。給食では食物アレルギーの子もそうでない子も給食をしっかり残さず食べて、楽しい時間を過ごせるよう努力してくださっていることはよいと思います。

行政で保育園業務に関わっています。じゃがいもアレルギー児が在籍している園があります。集団給食施設において、じゃがいもの除去給食を考える際、片栗粉やはるさめ等の加工品も全て対象とすべきでしょうか。「ご家庭で食べられている食品は給食でも提供する」というルールにすれば調理負担も軽減すると思いますが、先生方のお考えをお聞きしたいです。

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まず、じゃがいもはアレルギー表示の特定原材料あるいは特定原材料に準ずるものでもないために基本的に完全除去は難しいと思います。したがって、給食対応には限界があることを前提に保護者の方と話し合いをされることが大切です。つぎに、患者さんのじゃがいものアレルゲンがタンパク質である場合、じゃがいも澱粉中のタンパク質は0.1%程度です。通常1回使用量は数g程度ですので、実際に一度に摂取するタンパク質はごく微量になります。患者さんの症状の程度によってご家庭での食材選びがかわってくるかと思いますので、日常の食生活について保護者の方にお聞きになるとよいかと思います。
いずれにしても、給食対応が必要かどうかについては、主治医の生活管理指導表が提出されると思います。保護者の方からの食生活状況の把握と指導表を鑑みて、保育所内で対応できるかどうかを検討され、無理のない範囲で進められるとよいかと存じます。

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災害時の対応について

災害時における食物アレルギーのお子さんへのサポートの仕方について教えてください。

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誤食を防ぐために、非常食は特定原材料等28品目不使用のものを常備しておくと安心です。また、日本アレルギー学会運営の「アレルギーポータル」サイトに災害時の対応に関するマニュアルやガイドラインがまとまって紹介されていますのでご参考にされると良いと思います。
アレルギー対応食品の物資支援は、日本小児アレルギー学会と日本栄養士会が連携して行っています。有事の際には日本小児アレルギー学会で相談窓口を設置することになっています。例えばアレルギー用ミルクが被災地に必要な場合は、小児アレルギー学会からの要請を受けた日本栄養士会が、被災地近隣の栄養士会を通じて物資の手配・分配を行います。災害時においても、アレルギーをお持ちの方が不自由にならないよう、関連団体による体制整備と連携が図られていますので、食物アレルギー児への栄養支援として活用いただきたいと思います。
・「アレルギーポータル」日本アレルギー学会運営(厚生労働省 補助事業)

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《監修》
● 藤田医科大学医学部 客員教授 兼 うりすクリニック 名誉院長 兼 尾張東部アレルギー研究所 所長 宇理須厚雄 先生
●藤田医科大学ばんたね病院小児科 教授 兼 総合アレルギーセンター 副センタ―長 近藤康人 先生
● 別府大学食物栄養科学部 教授 兼 学会認定小児アレルギーエデュケーター 高松伸枝 先生

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