公益財団法人ニッポンハム食の未来財団

FAQ

食物アレルギーの概要について

なぜ、食物アレルギーの患者さんは増えているのでしょうか?

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特に日本をはじめ、アメリカやヨーロッパでは患者数が増えています。
明確な要因はわかっていませんが、いくつか説が提唱されています。
花粉症の増加によって交差反応性がある果物・野菜に対するアレルギーも増えているという説があります。抗生物質による腸内細菌叢の乱れが原因ではないかという説もあります。いずれにしろ、確定的な説はまだありません。今後の検討が必要です。

食物アレルギーの児童は痩せているような印象を受けます。
一般的によくあることなのでしょうか。

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食物アレルギーの3歳児、5歳児におけるBMIが低いという健診での調査結果が報告されています。
原因となる食品は患者さんによって様々ですが、食物アレルギーだからといって敏感になり過ぎない事が大切です。
“心配だから”といって除去はせず、様々な種類の食品をまんべんなく継続して摂取していきましょう。

食物アレルギーは遺伝するのでしょうか。

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ご両親がなんらかのアレルギーをお持ちの場合、お子さんもアレルギー体質である確率は高いです。
例えばご両親が喘息の場合、お子さんの約9割、片親の場合は約5割の確率で喘息を発症する可能性があると言われています。
ただし、必ずしもアレルギーになるとは限らないため、食物アレルギーの場合も“念のため”といって離乳を遅らせたり、食物除去をする必要はありません。
新生児は症状が軽いことが多いですので、アレルギー症状が見られた場合には、医療機関を受診しましょう。

アレルギーマーチとは何ですか。

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アレルギーマーチとは、食物アレルギー、湿疹に始まり喘息、花粉症というように、患者さんの年齢とともにアレルギー疾患が変化してみられる現象です。
日本で提唱された言葉で、世界中で使われています。
患者さんによって症状の現れる順番は様々ですが、一般的な傾向は、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎という順番です。

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診断・治療について

経口負荷試験はいつ頃から受けたらよいでしょうか。

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病歴や皮膚プリック試験や血液特異的IgE抗体価の結果で経口負荷試験を行うか決めます。つまり、年齢は関係ないといえます。母乳栄養だけの乳児でも、母親に食べてもらい、授乳で赤ちゃんに症状がでるかをみる、経母乳経口負荷試験を行うこともあります。
経口負荷試験の目的は、原因となるアレルゲンの確定診断および耐性獲得の確認です。
不必要な除去は、食生活のQOL低下だけではなく、栄養障害などを引き起こすおそれもあります。
病歴と皮膚テストや血液検査を参考に、適切な時期に受けましょう。

経口免疫療法とはどのような治療法なのでしょうか。

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原因となる食品を計画的に摂取し増量をすることで耐性獲得を目指す治療です。現在は研究段階であり、保険適用もない治療法です。
多くの場合、食物アレルギーは乳児期に発症し成長に伴って耐性を獲得します。
(5~6歳で約8割の患者さんが耐性を獲得するといわれています。)
対象年齢は、概ね5歳以上で実施されています。理由は、原因食品を定期的に摂取する治療であり、種々の負担を強いる事になりますので、ある程度理解ができる年齢に行う方が良いと思います。
また、自然に耐性を獲得する見込みのある患者さんにまで負担がある経口免疫療法を行う必要がないと考えられることから、5歳になっても治っていないお子さんを対象として実施されています。
また、治りにくいとされる特異的IgE抗体価の高い方や誤食によって重症症状のおそれがあるアナフィラキシーを起こした事のある方も、経口免疫療法の必要性の高い患者さんといえます。

経口免疫療法は、成人でも受けることができるのでしょうか。

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はい、行うことができます。
現在は研究段階の治療法ですので、専門医のもとでの実施が原則となっています。
また、経口免疫療法は定期的な受診が必要となります。
専門医と十分な話し合いのもと、実施しましょう。

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栄養食事指導について

食物アレルギー発症予防のために、妊娠中~授乳中の母親の食物除去は必要なのでしょうか。

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発症予防のための母親の食物除去は推奨されていません。
母乳中にも食物抗原は分泌されていますが、抗原量はごく微量ですので乳児の症状が重篤になることはほとんどありません。
もし、母乳による食物アレルギーであると疑わしい場合には、「経母乳経口負荷試験」により確認をし、母親の食物除去が必要かを判断します。
また離乳期においても同様に、予防のためといって離乳食の開始時期を遅らせる必要はありません。

まずは、「食べてみる」とこが大切です。
1口ずつ、それから1品ずつ増やして様子をみていきましょう。
「授乳・離乳の支援ガイド」を参考にしてバランスの良い食生活を心がけて下さい。
偏った食事は、栄養素欠乏症のリスクを招く可能性があります。
また注射についても原因食物が摂取できるのであれば問題ありません。

「食物アレルギーの子どものためのレシピ集」には基礎知識や対応レシピの他、離乳食のポイントなどが紹介されています。
ダウンロード可能ですので、参考にすると良いと思います。

・「授乳・離乳の支援ガイド」厚生労働省
 http://rhino.med.yamanashi.ac.jp/sukoyaka/pdf/zyunyuu_all.pdf
・「食物アレルギーの子どものためのレシピ集」独立行政法人 環境再生保全機構
 https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/00/pdf/archives_27016.pdf

食物アレルギーの家族歴がない乳児への除去は必要なのでしょうか。

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家族歴があるなしに関わらず、“念のため”の除去は推奨されていません。
除去による食物アレルギー発症予防の期待はできないということがわかっています。
「授乳・離乳の支援ガイド」に従って、離乳食を導入し、進めることが大切です。
偏った食事は、栄養素欠乏症のリスクを招く可能性があります。適切な時期に適切な食品を摂取するようにしましょう。
同様に、妊娠中・授乳中の母親においても食物除去は児の食物アレルギー発症予防は期待できません。バランスの良い食生活を心がけましょう。

・「授乳・離乳の支援ガイド」厚生労働省
 http://rhino.med.yamanashi.ac.jp/sukoyaka/pdf/zyunyuu_all.pdf

食物アレルギーの血液検査で陽性反応が出た場合、原因食品は食べない方が良いのでしょうか。

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血液検査が陽性反応だからといって、原因食品が食べられないという訳ではありません。
食物アレルギーとは、原因食品を食べて症状が起きる場合のことを言います。
診断方法は、第1ステップとして食物アレルギーの血液検査を行い、特異的IgE抗体を調べます。必要な場合は、次に、経口負荷試験を行います。
血液検査で行われる特異的IgE抗体価は食物経口負荷試験で症状が誘発される確率(プロバビリティ)を意味しています。特異的IgE値と経口負荷試験の陽性率との関係を示すグラフをプロバビリティカーブと呼びます。つまり、経口負荷試験でほとんどの患者さんが陽性になる、例えば90%の確率で陽性になるIgE値がこの血液検査で分かります。
ただし、特異的IgE価と経口負荷試験とのプロバビリティカーブが描けている食品は限られています。また、発症が誘発される確率は食品によって異なります。原因食品ごとに検査を行い、食べられる食品や量をきちんと調べることが大切です。

栄養指導をしていると、加工食品に原因食品が含まれていると知らずに食べているというケースを経験します。
患者さんの喫食状況を正確に入手するための具体的な方法を教えてください。

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何を食べたのか、年齢、食べた時間、場所(家・外食・旅行先など)、食べてから症状を起こすまでの時間、そしてどんな症状が起きたかを聞いていきます。この際に一番大切なのは、同じものを食べて“複数回症状が起きているのか”です。
ある特定の食品を食べたとき必ず症状を引き起こす場合には、食物アレルギーの疑いがありますので、医師と相談をして患者さんにフィードバックするようにしています。

原因食品でも少量なら食べられる場合もあります。病歴を聴取する際、①量を制限せずに食べても無症状、②食べるとアレルギー症状がでる、③少量なら無症状で食べることができる、④食べた時に症状がでるかはっきりしない、⑤未摂取(主にお子さんの場合)という5種類に分けるとよいでしょう。③、④、⑤の場合、特異的IgE抗体の血液検査や負荷試験を実施すると、アレルギー症状がでるか否か、どの量までなら食べることができるかを明らかにすることができます。

入院中の患者さんのご家族から除去対応の要望を受けることがあります。
どうやら食物アレルギーの検査は受けておらず、今までの食経験で申告されているようです。
どのような対応やフォローをしたら良いでしょうか。

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大人・高齢者の方で2、3日の入院であれば、安全性を第一に除去対応で問題ないと思います。
ただ、小さいお子さんの場合には、今後入院したときの対処法や日々の食事への配慮も大切になってきます。お子さん自身の為にも、一度医療機関での検査をアドバイスされると良いかと思います。

入院・入所されている高齢者への除去食対応を行う際の注意点について教えてください。

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ご本人から情報が入手できる場合は、今までどのような食べ物でどのような症状が出たかなどの病歴を詳しく聞きましょう。
ご本人から聞くことが難しい場合には、入院・入所時の食事摂取状況を確認すると良いです。今まで食べられていたものは摂取可能という判断ができると思います。
また、申告される食品で「サバ」をよく聞くと思います。
魚は鮮度が落ちると、ヒスタミンという成分が魚肉中に産生されます。
このヒスタミンが原因となり、食物アレルギーと似た症状をきたす場合があります。
しかしこの場合は、魚の鮮度が原因であるため、食物アレルギーと区別する必要があります。
方法としては、新鮮な魚を複数回摂取した時の症状を確認することで、ある程度見極めることが可能です。
それでも疑わしい場合には、血液検査で魚のIgE抗体を調べましょう。

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園・学校などでの対応について

保育園で栄養士をしています。
花粉症を持った園児がいるのですが、加熱や加工処理された果物でも食物アレルギーを発症するのでしょうか。

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一般的には、加工された果物・野菜については、アレルゲン性は下がりやすいと言われていますが、一部の果物(モモやパイナップルなど)では、アレルゲン性が下がりにくいものもあります。
例えばモモやパイナップルの中には、熱などの加工に対して安定な成分と不安定な成分とがあります。患者さんが加工や熱に不安定な成分に対して反応している場合は食べられますが、安定な成分に対して反応している場合は、缶詰でも食べられないということになってしまいます。
果物・野菜のどの成分にアレルゲン性があるのか、研究が進められていますが、現時点では、病歴と経口負荷試験を実施して食べられる食品を確認していきます。

研究により、花粉症と関係のある果物が明らかになってきています。
症状を引き起こす頻度の高い果物としては、バラ科の果物(モモ、サクランボ、リンゴ)やキウイフルーツです。果物の中でもみかんは発症頻度が低い傾向にあります。このように発症頻度の低い食品を使用して、少しでも多くのお子さんが食べられるように工夫されると良いと思います。
また花粉症の症状がひどくなった場合には、必ず保護者の方から連絡してもらうようにお伝えする事で、園での対応もしやすくなると思います。

卵アレルギー児に卵殻カルシウムを使用することはできますか?

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卵殻カルシウムには、焼成と未焼成の2種類あります。焼成は高温で加熱しているため、たんぱく質の残存はみられません。
一方、未焼成には卵のたんぱくが検出されますが、ごく微量です。
よって焼成、未焼成ともに、基本的には卵アレルギー児にも使用できます。

学校給食の栄養士をしています。
牛乳アレルギー児については、「代替食品持参」対応をしていますが、代替品にすることで、カルシウムやエネルギーなどの栄養素不足が心配です。

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牛乳の代わりとして豆乳や果汁100%ジュースを給食に持参するケースが比較的多く見受けられますが、必ず飲み物で対応しなくてはいけないという訳ではありません。
例えば、品数や量を増やすなどして、不足しがちな栄養素を補うのも1つの方法です。
「学校給食における食物アレルギー対応指針」にも明記されていますが、給食で決められた栄養素を給食の時間に補おうと敏感になり過ぎず、家庭でも補うといった柔軟な気持ちと対応も必要です。
また、カルシウムを補う方法としてはカルシウムとビタミンDが添加されている豆乳も市販されています。
上手に加工食品を取り入れていきましょう。

・「学校給食における食物アレルギー対応指針」文部科学省
 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/03/26/1355518_1.pdf

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《監修》
● 藤田保健衛生大学医学部 客員教授 兼 うりすクリニック 名誉院長 兼 尾張東部アレルギー研究所 所長 宇理須厚雄 先生
● 別府大学食物栄養科学部 教授 高松伸枝 先生

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