「平成29年度公募型研究助成事業」
研究課題概要

研究課題概要

●共同研究(5件)50音順・敬称略

代表研究者氏名 伊藤 浩明
所属・役職 あいち小児保健医療総合センター 副センター長 兼 総合診療科部長
研究課題名 αs1 カゼインのアレルゲン活性に対する免疫学的機序による制御に関する研究
研究概要 牛乳アレルギー患者に対する経口免疫療法で得られる脱感作状態の機序を解明するため、代表的な牛乳アレルゲンであるαs1カゼインに対する特異的IgE抗体の機能を、受動感作による好塩基球活性化試験を用いて検討する。治療経過に伴う反応性の低下を観察すると同時に、脱感作状態に到達した患者血清中の特異的IgG4抗体が、アナフィラキシーを誘発する患者の特異的IgE抗体の反応性を抑制することを検出する。
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代表研究者氏名 海老澤 元宏
所属・役職 国立病院機構相模原病院臨床研究センター アレルギー性疾患研究部 部長
研究課題名 新生児早期の食事介入による即時型食物アレルギー発症予防効果の検証
研究概要 食物アレルギーは増加傾向で社会的な問題となっており、発症予防が大きな課題である。鶏卵アレルギーは本邦の食物アレルギーの約4割を占めている。これまで児の鶏卵摂取による二次予防、三次予防を目的とした研究がなされ、その有用性が示唆されているが、一次予防を目的として感作成立前に介入する研究の有用性は報告されていない。今回、出生直後の母親が鶏卵を摂取することによる即時型鶏卵アレルギーの発症の有無を評価する。
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代表研究者氏名 香月 康宏
所属・役職 国立大学法人鳥取大学 染色体工学研究センター 准教授
研究課題名 食物由来制御性ペプチドの探索に基づく食物アレルギー予防食品の開発
研究概要 近年、食物アレルギーの罹患率が急増しているが、各種食材中には、制御性T細胞(Treg)誘導能を示す抑制性エピトープの存在も見込まれる。本研究では、ヒトにおいてTregを誘導する食物由来抑制性ペプチドを、免疫系ヒト化マウスを用いて探索する。さらに、同マウスを利用して新たな食物アレルギーモデルを構築し、見いだした候補エピトープの食物アレルギー抑制効果を実証し、食物アレルギー予防食品の開発に結びつける。
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代表研究者氏名 藤澤 隆夫
所属・役職 国立病院機構三重病院 院長
研究課題名 重症鶏卵アレルギーに対する経皮免疫療法の有効性と安全性に関する研究
研究概要 食物アレルギーの疾病負担は大きいが、未だ確立した治療法がなく、経口免疫療法も効果の限界、副反応等の問題から標準治療とはなっていない。本研究では新規治療として、重症鶏卵アレルギーに対する経皮免疫療法の効果と安全性を検証する。皮膚は免疫臓器であり効果的に耐性を誘導できる可能性がある。用いる新規デバイス、親水性ゲルパッチは効率的に皮内に抗原送達可能であり、安全かつ有効な治療法として期待は大きい。
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代表研究者氏名 松本 健治
所属・役職 国立成育医療研究センター研究所 免疫アレルギー・感染研究部 部長
研究課題名 ヒスタミン遊離因子の阻害による食物アレルギー治療薬の開発
研究概要 食物アレルギーは時に致死的な症状を呈し、長期にわたりQOLを障害するため、治療法の開発は喫緊の課題である。ヒスタミン遊離因子(HRF)は約30%のIgE抗体やIgG抗体と直接結合してマスト細胞を活性化する分子であり、近年各種アレルギー疾患における意義が明らかになっている。本研究では、HRFの阻害による食物アレルギー治療薬の開発を最終目的として、抗HRF抗体やペプチド由来阻害剤の効果を検討する。
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●個人研究(14件)50音順・敬称略

氏名 伊藤 亮治
所属・役職 公益財団法人実験動物中央研究所 博士研究員
研究課題名 ヒト化マウスを用いた食物アレルギーモデルマウスの開発とアナフィラキシー制御の研究
研究概要 ヒトIL-3/GM-CSF Tgマウスは、ヒト造血幹細胞移植後、マスト細胞や好塩基球といったアレルギーのエフェクター細胞が顕著に分化する事から、ヒトアレルギー症状を生体内で再現するモデルマウスとして利用出来る可能性がある。本研究では当該マウスを用い、牛乳、鶏卵などの食物アレルギーモデルの開発と、抗アレルギー薬投与による治療モデルの構築といった前臨床研究への応用を目的としている
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氏名 五十嵐 ありさ
所属・役職 国立成育医療研究センター研究所 研究員
研究課題名 食物アレルギー罹患児の血漿中におけるアレルギー関連miRNAの発現プロファイル解析
研究概要 miRNAは、細胞内で遺伝子の発現を調節する。血漿からも検出されるが、血漿中のmiRNAがアレルギー疾患の病態をどの程度反映するのかは明らかではない。本研究では、食物アレルギー罹患児、および健常児の血漿中miRNAプロファイルを比較し、miRNAがアレルギー疾患の病態をどの程度反映するのか明らかにし、将来的にはmiRNAを使用したアレルギーの診断および新たな治療方法の開発を目指す。
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氏名 上番増 喬
所属・役職 徳島大学大学院医歯薬学研究部 予防環境栄養学分野 助教
研究課題名 母親の腸内環境が胎児の出生後の食物アレルギー発症に及ぼす影響の解析
研究概要 経口免疫寛容を含む免疫抑制の働きについては、制御性T細胞が発見されて以来、免疫抑制の主役として制御性T細胞研究が盛んに行われている。近年、腸内細菌が合成する短鎖脂肪酸により制御性T細胞数が増加するなど、腸内細菌叢が制御性T細胞数の制御に重要であることが明らかになってきている。本研究では、母体の腸内環境の違いが出生後の子の制御性T細胞数および食物アレルギー発症に及ぼす影響について検討する。
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氏名 大嶋 直樹
所属・役職 島根大学医学部 助教
研究課題名 microRNAの網羅的解析を用いた好酸球性消化管疾患のバイオマーカーの探索
研究概要 好酸球性消化管疾患は遅延型食物アレルギーの一つであり、消化管に多数の好酸球が浸潤し慢性炎症が起こる病態である。近年、患者数は急激に増加傾向であるが、診断方法、治療に関しては未だ確立されていない部分が多い。我々は、消化管粘膜局所におけるmicroRNAに着目し、どのように病態形成に関与しているのか、またバイオマーカーになり得るのかを明らかにすることを目的に本研究を行っていく。
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氏名 岡田 貴裕
所属・役職 佐賀大学医学部 分子生命科学講座 細胞生物分野 助教
研究課題名 糖鎖生物学的アプローチによる果実のアレルゲン性発現メカニズムの解明
研究概要 花粉関連食物アレルギー症候群は、花粉への感作が引き金となり、生野菜や果物を食することで発症する疾患である。その原因にはいまだに不明な点が多く、根本的な予防法は確立されていない。本研究の目的は、糖鎖生物学の観点から食用植物のリスク要因を調査し、その低減化技術の開発に繋げることである。具体的には、マンゴーをモデルとして扱い、果実における花粉アレルゲンコンポーネント糖鎖の発現メカニズムの解明に取り組む。
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氏名 片山 茂
所属・役職 信州大学 農学部 准教授
研究課題名 免疫寛容誘導作用を有する低アレルゲン性蕎麦抗原ペプチドの創製と予防治療への応用
研究概要 免疫寛容を利用した経口減感作療法はアレルギー疾患の根治療法として期待されるが、重篤な副作用の危険もあり、より安全性が高い手法の確立が求められている。そこで本研究では、「免疫寛容誘導作用を有する低アレルゲン性抗原ペプチド」を分子設計し、重篤な症状を引き起こしやすい蕎麦アレルギーに対する寛解効果を検証することを目的とした。本研究の成果は、アレルギー疾患治療薬の開発につながることが期待される。
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氏名 川本 典生
所属・役職 岐阜大学医学部附属病院 小児科 併任講師
研究課題名 抗原改変カゼインを用いた乳幼児ミルクアレルギー患者への早期介入による、ミルクアレルギーへの治療効果に関する研究
研究概要 IgEの反応性を低下させ、T細胞の反応性を残した抗原改変カゼインの開発を行っている。これまでに幼児〜学童の経口免疫療法を行い、一定の有効性があったが、一部にアレルギー反応を認めた。この食品へのIgEの反応性を検討し、また、さらにT細胞に対する反応性を検討することで、アレルギー反応が起こりやすい人を事前に予測したり、治療効果が出る人とでない人の違いを検討したりし、安全性を向上し乳幼児への早期介入を目指す。
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氏名 國澤 純
所属・役職 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 プロジェクトリーダー
研究課題名 食物アレルギーの新規予防法の開発に向けた母子栄養・腸内因子とアレルギー疾患との相関解析
研究概要 現在、アレルギー疾患の患者数は増加しており、その発症要因の一つとして食事や腸内細菌が注目されている。本研究では乳児に焦点を当て、“母親の食生活・アレルギー歴→母乳中因子→乳児の腸内環境→アレルギー発症”という観点から、アレルギー疾患の予測診断、予防、改善などにつながる新規知見の獲得を目指す。
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氏名 田中 景子
所属・役職 愛媛大学大学院医学系研究科 疫学・予防医学講座 助教
研究課題名 妊婦の栄養摂取状況と子の食物アレルギー発症との関連:出生前コホート研究データを活用した解析
研究概要 妊娠中の母親の栄養摂取状況が胎児の免疫系の発達に影響を及ぼし、食物アレルギーも含めた小児のアレルギー疾患発症に関わっている可能性は高い。出生前コーホート研究のデータを活用し、妊娠中の母親の食事・栄養摂取状況と生まれた子の食物アレルギー発症リスクとの関連を調べる。食物アレルギー発症と関わる妊娠中の母親の食事・栄養要因を明らかにすることで、子の食物アレルギー発症を予防できる可能性が高まる。
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氏名 長尾 みづほ
所属・役職 国立病院機構三重病院 臨床研究部 室長
研究課題名 食物アレルギー児のQOLに着目した予後に関する研究
研究概要 近年の食物アレルギーの診療では食物負荷試験が積極的に行われるようになり、負荷試験結果に基づいて、必要最小限の除去食指導が行われるようになってきているが、病状だけでなくQOLを考慮した診療が必要になる。そのため、どういった配慮が必要なのかを適切に判断し、QOLを考慮した除去食指導が求められる。本研究では、経口負荷試験を行った児に対して、QOL質問紙を用いてQOLが改善する要因や阻害要因を解析する。
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氏名 平川 城太朗
所属・役職 千葉大学大学院薬学研究院 助教
研究課題名 革新的抗体作製技術を用いた食物アレルギー抗原同定法の開発
研究概要 食物アレルゲンの同定にはウエスタンブロッティング法が用いられるが、この手法では食物アレルゲンの立体構造が完全に保持されているとは言えず、食物アレルゲンを同定するうえで十分な研究手法でなはい。本研究では、食物アレルゲンを同定する方法として、モノクローナル抗体とセルソーターを利用した新規の食物アレルゲン同定法を開発する。本研究により簡便かつ特異性の高い食物アレルゲン同定法が確立されることが期待される。
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氏名 藤村 孝志
所属・役職 広島大学大学院先端物質科学研究科 特任助教
研究課題名 うるち米デンプンとアレルゲンの共摂食による経口免疫寛容誘導の検討
研究概要 本邦におけるアレルギー疾患の増加は食・住環境の欧米化に伴うものと考えられており、アレルギー罹患者数は和食に必須である発酵食品の消費量と逆相関している。本研究は、OVAをモデルアレルゲンとして、うるち米による経口免疫寛容誘導能をOVA食物アレルギーマウスモデルを用いて明らかとし、うるち米デンプンによる経口免疫寛容誘導の作用機序解明を行うものである。
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氏名 山本 武
所属・役職 富山大学 和漢医薬学総合研究所 消化管生理学 助教
研究課題名 葛根湯の併用による経口免疫寛容の治療効率の向上及びその機序の解明
研究概要 食物アレルギーに対する唯一の根本的治癒に至る可能性がある治療法として経口免疫療法の研究が行われている。しかし、未だこの治療法は副作用の誘発や治療成績が十分ではないなどの問題があり一般診療としては推奨されていない。そこで本研究では、食物アレルギー病態モデルを用いて経口免疫療法と漢方薬である葛根湯の併用療法を検討し、経口免疫療法の治療効果を向上させるとともに、その詳細な治療機序を解明する。
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氏名 吉田 幸一
所属・役職 東京都立小児総合医療センター アレルギー科 医員
研究課題名 マカダミアナッツアレルゲンの交差反応についての解析
研究概要 食物アレルギーの原因食品としてナッツ類は、重篤な症状をきたし時には致死的な症状に至るため注意が必要な食品である。近年ピーナッツをはじめとする各種ナッツ類は摂取による症状、予後、主要な抗原など多くの事実が明らかにされつつあるが、マカダミアナッツに関する報告は非常に少ない。本研究は、マカダミアナッツアレルギーの臨床症状を集積し主要抗原および交差反応につき明らかにすることでアレルギー診療に貢献したい。
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