「2020年度公募型研究助成事業」
研究課題概要

研究課題概要

●共同研究助成(5件)50音順・敬称略

代表研究者氏名 安達 貴弘
所属・役職 東京医科歯科大学 難治疾患研究所 准教授
研究課題名 食物アレルギーにおける免疫記憶の機序解明およびその制御法の開発
研究概要 食物に一旦感作されて免疫記憶が成立し、食物アレルギーを発症するが、その実体はよくわかっていない。その機序が解明できれば、そこを標的として根本的な治療法の開発ができるのではないかと考え、本研究では、一細胞レベルの時空間的な解析で、食物アレルギーにおいて免疫記憶が成立および維持される機序を明らかにすること、それをもとにした抗原特異的な免疫記憶およびクラススイッチの制御法の確立を目的とした研究を行う。

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代表研究者氏名 沖嶋 直子
所属・役職 松本大学 人間健康学部健康栄養学科 専任講師
研究課題名 主要アレルゲンMal d 1 の日本産リンゴ品種における定量および経口負荷試験結果を基にした食事指導への展開
研究概要 花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)によりリンゴが食べられない日本人が増加している。欧州では、アレルゲンの定量、経口負荷試験により、アレルギーを起こしにくい品種が明らかとなっているが、日本産品種においては不明であった。我々は、リンゴ主要アレルゲンコンポーネントであるMal d 1のELISAによる定量、および経口負荷試験により「リンゴPFAS患者が食べられる日本産リンゴ品種」の同定を行う。

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代表研究者氏名 野口 恵美子
所属・役職 筑波大学医学医療系 教授
研究課題名 小麦アレルギーの包括的ゲノム関連解析とT細胞エピトープの同定
研究概要 申請者は、ゲノム解析の手法を用いてアレルギー疾患発症と関連する遺伝要因の探索を行っている。本研究では、SNPアレイ等による網羅的遺伝子型解析により、小麦アレルギーと関連する疾患感受性遺伝子を同定する。さらに、疾患感受性および抵抗性HLA型を考慮し、MHC-ペプチド結合アッセイ等により、小麦アレルゲンコンポーネントのT細胞エピトープ候補を探索する。

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代表研究者氏名 橋本 博行
所属・役職 三重短期大学 教授
研究課題名 給食施設での調理時の小麦アレルゲン混入リスクに関する研究
研究概要 給食施設で提供される食物アレルギー対応食等において、意図しない小麦アレルゲンの混入防止に役立つ研究を行う。まず、小麦粉を用いた調理を想定した調理器具の洗浄実験を行い、調理器具や洗浄器具への小麦成分の残留性、付着性を調査する。また、残留した小麦成分の特性について詳細に解析すると共に、残留成分に対する界面活性剤やアルカリ剤等の洗浄効果を確認し、給食提供における小麦アレルゲンの管理方法を明らかにする。

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代表研究者氏名 松本 健治
所属・役職 国立成育医療研究センター研究所 免疫アレルギー・感染研究部 部長
研究課題名 食物に対する経消化管感作の機序、特にIL-25の役割の解明
研究概要 IgE依存性食物アレルギー患者の一部や、IgE非依存性食物アレルギー(消化管アレルギー)患者の感作経路は経腸管感作が疑われているが、一般に経口摂取した食物抗原に対する免疫応答は寛容誘導であり、経腸管感作の機序については全く不明である。本研究では、食物抗原に対する経腸管感作におけるIL-25の役割を、in vitroおよびin vivoのモデルで検証する。

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●個人研究助成(18件)50音順・敬称略

氏名 池ノ内 順一
所属・役職 九州大学 大学院理学研究院 教授
研究課題名 消化管上皮細胞のタイトジャンクションの人為的強化法の開発
研究概要 消化管の上皮細胞は、糖やアミノ酸の吸収という機能に加えて、細菌や食事に由来するタンパク質抗原など、感染性微生物や食物アレルギーの体内への侵入を防ぐバリアとして機能します。本研究では、消化管上皮細胞のタイトジャンクションの形成機構を明らかにし、人為的にタイトジャンクションの機能を強化する方法を開発することによって、食物アレルギーの新たな予防法・治療法の創出を目指します。

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氏名 梅本 英司
所属・役職 大阪大学医学系研究科 免疫制御学 准教授
研究課題名 腸内細菌由来の代謝物による経口免疫寛容誘導機構の解析
研究概要 小腸粘膜固有層の貪食細胞は、上皮細胞間から樹状突起を伸長して管腔内の抗原を捕捉し、経口免疫寛容を誘導することが知られている。申請者らは近年、腸内細菌由来の代謝産物であるピルビン酸および乳酸がG蛋白質共役型受容体GPR31を介して小腸貪食細胞の樹状突起伸長を誘導することを報告した。本研究は、ピルビン酸・乳酸およびGPR31シグナルが経口免疫寛容誘導に果たす役割およびそのメカニズムを明らかにすることを目的とする。

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氏名 岡田 祐樹
所属・役職 昭和大学医学部小児科学講座 講師
研究課題名 小麦アレルギー経口免疫療法における維持期の摂取回数と耐性獲得との関係
研究概要 自然耐性を獲得する事が難しいと思われる小麦アレルギー患者を対象に、維持期12週群と維持期36週群に無作為割付した上で、維持期の週数以外は両群ともに同じプロトコルの経口免疫療法を実施する。2群の耐性獲得状況を比較することで維持期の週数の違いがもたらす耐性化獲得の効果を検証する。 リクルート期間は2020年4月から2022年3月とし、目標症例は各群25名ずつ(計50例)を予定している。

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氏名 荻田 佑
所属・役職 信州大学先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所 助教
研究課題名 腸細菌Flavonifractor plautiiによるアレルギー予防メカニズムの解明
研究概要 近年、腸内細菌研究は飛躍的に進展し、腸細菌叢の構成と宿主の健康との関連性が明らかになりつつあり、食物アレルギーの発症リスクとの関連も指摘されている。それらを背景に、根本的なアレルギー予防メカニズムの理解と、治療方法の確立が求められている。本研究ではFlavonifractor plautiiを、アレルギーを予防できる腸細菌のモデルとして用い、腸細菌を介したアレルギー予防メカニズムの解明を目指す。
氏名 河原 隆浩
所属・役職 広島大学大学院医科系科学研究科免疫学 大学院生
研究課題名 経皮感作食物アレルギーモデル確立と脂肪酸摂取によるアレルギー制御
研究概要 極度に偏った脂肪酸の摂取バランスがアトピー性皮膚炎(AD)を発症させるなど、脂肪酸がアレルギー疾患発症に関与していることが示唆されている。本研究では脂肪酸とアレルギー素因との関係性を示す新しい食物アレルギー発症モデルを構築し、経皮または経腸管蛋白質抗原によって誘発される食物抗原アナフィラキシーにおける脂肪酸やADの影響について明らかにするとともに、病態が引き起こされるメカニズムを解明する。

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氏名 小谷 仁司
所属・役職 島根大学医学部医学科 免疫学講座 講師
研究課題名 制御性T細胞の分化制御に関わる核内受容体に作用する食品由来成分の探索と有効性解析
研究概要 本研究では、健康で幸せな食生活を営み、多くの人々が食を楽しむことを目指して、食物アレルギーの予防・治療に有効な食品成分の探索研究をおこなう。ターゲットとしては、腸管における免疫寛容を担う免疫細胞の1つである制御性T細胞である。この制御性T細胞を分化制御するという作用を持つ核内受容体(NR4A2/RXR)に着目し、これらの核内受容体リガンドとなる食品成分の探索・有効性解析をおこなっていく。

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氏名 佐藤 賢哉
所属・役職 公益財団法人実験動物中央研究所 マーモセット医学生物学研究部 研究員
研究課題名 コモンマーモセットを用いた食物アレルギーモデルの確立と前臨床評価系への応用
研究概要 食物アレルギー罹患患者は近年先進国で増加の一途をたどっている。それに伴い新薬の開発も盛んに行われているが、これまでの前臨床研究は主にげっ歯類を用いて行われており、ヒトとの生物種差に由来する信憑性の問題がしばしば議論されている。本研究では、ヒトへの外挿性を担保した新しい食物アレルギーモデル動物の確立を目指し、非ヒト霊長類の実験動物であるコモンマーモセットを用いて疾患モデル動物の開発を行う。
氏名 清水 裕
所属・役職 北海道大学大学院 水産科学研究院 技術専門職員
研究課題名 メイラード反応が魚肉アレルゲンの消化・吸収性に及ぼす影響の解明
研究概要 申請者は、加工過程における魚肉アレルゲン(パルブアルブミン;PA)のアレルゲン性の変化について、消化・吸収性の変化と関連づけて検討している。今般、レトルト加熱とメイラード反応が、PAの消化に伴うIgE反応性の低下を促進することを見出した。そこで本研究では、各種調理加工を施したPAをマウスへ経口投与し、それらの体内移行量の変化を定量し、PAの腸管吸収性に対する調理加工の影響を検証する。

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氏名 杉浦 至郎
所属・役職 あいち小児保健医療総合センター アレルギー科医長
研究課題名 複数の重症食物アレルギーを有する児に対する同時緩徐微量経口免疫療法 Simultaneously slow low dose oral immunotherapy: SSLOIT (wSLOIT)
研究概要 我々は鶏卵・牛乳・小麦の重症アレルギー児に対し単抗原を対象とした緩徐微量経口免疫療法(slow low dose oral immunotherapy: SLOIT)を行い非常に高い安全性と効果を確認した(Allergology International, in press)。今回の研究では鶏卵・牛乳・小麦のうち複数抗原に重症アレルギーを有する児を対象に、複数抗原同時SLOIT(Simultaneously SLOIT: double S-LOIT)を行い、その効果と安全性を評価する。複数の抗原が含まれたクッキーをSLOITプロトコールに沿って摂取、増量を行い、約1年後の食物経口負荷試験により効果判定を行う。

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氏名 中野 泰至
所属・役職 千葉大学医学部附属病院小児科 助教
研究課題名 乳児期のビタミンD投与によるアレルギー予防に関する研究開発
研究概要 国内外の疫学調査から母体・小児のビタミンD(VD)欠乏の頻度が多く、VD低値が食物アレルゲン感作及び食物アレルギー発症に深く関与する可能性が示されている。そこで本研究では出生早期から乳児にVDを経口的に摂取してもらい、VDが感作・アレルギーを予防できるかを検証することを目的として、VDシロップ及びプラセボを用いた無作為ランダム化比較試験を2019年度から行っており、今年度も引き続き継続している。

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氏名 野村 孝泰
所属・役職 名古屋市立大学大学院医学研究科 新生児・小児医学 病院助教
研究課題名 胃食道逆流に注目した牛乳アレルギーモデルマウスの免疫機序の解明
研究概要 乳児期の食物アレルギーは、初めての経口摂取で発症することも少なくなく、経皮あるいは経気道などの感作経路について解析が行われている。今回我々は、牛乳成分を含む胃食道逆流が、気道の自然免疫細胞の活性化を介して、吸入抗原への感作を促進すると仮説を立てた。本研究では、胃食道逆流による牛乳アレルギーモデルマウスを確立し、牛乳アレルギー発症の免疫機序を明らかにする。

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氏名 濵野 翔
所属・役職 杏林大学医学部付属病院 小児科学教室 助教
研究課題名 Food protein induced enterocolitis syndrome の診断における血清TARC値の有用性に関する研究
研究概要 FPIESの症状は非特異的であり診断に有用なバイオマーカーがないため、その診断は難渋し、過剰な検査がなされることも多い。したがって、FPIESを診断するためのバイオマーカーの発掘は急務である。最近、申請者は一部のFPIESで血清TARC値が上昇することを報告し、血清TARC値のFPIES診断におけるバイオマーカーとしての可能性を見出した。本研究の目的は血清TARC値の上昇がFPIESに特異的であり、FPIESの診断に有用であることを明らかにすることにある。
氏名 春里 暁人
所属・役職 京都府立医科大学 消化器内科学助教
研究課題名 食物アレルギー予防を目指した食品成分による腸内環境制御法の開発
研究概要 食物アレルギーの発症リスクとして遺伝的因子や生活環境因子が挙げられているが、食物アレルギーの予防法は二次予防としてのアレルゲン摂取の徹底した管理であり、有効な一次予防法がないのが現状である。一方、近年の研究により出生後早期の腸内環境が免疫系の発達に極めて重要であり、その後のアレルギー疾患発症に影響する可能性が示唆されている。しかしながら、このような腸内環境の変化が特に食物アレルギーの発症に及ぼす影響やそのメカニズムは未だ十分に明らかでなく、本研究では、特に食品成分による腸内環境制御を基盤とする食物アレルギーの一次予防確立に向けた研究開発を実施する。

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氏名 牧田 英士
所属・役職 自治医科大学附属さいたま医療センター小児科 助教
研究課題名 少量経口負荷試験による食物アレルギー児の保護者の不安軽減効果の検討
研究概要 食物アレルギー児に食物経口負荷試験を行うことで児や保護者のQOLや不安感が改善するという海外からの報告があるが、原因となる抗原や食物経口負荷試験の方法によってはQOLが改善しないという報告もある。本研究では、我が国で普及している鶏卵・牛乳・小麦の少量の食物経口負荷試験による保護者の不安軽減効果をアンケート調査から評価し、さらに不安軽減と関連する因子を明らかにする。

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氏名 松本 健次郎
所属・役職 京都薬科大学 准教授
研究課題名 温度感受性TRPV4チャネル制御による食物アレルギー予防方法の検討
研究概要 食物アレルギーの原因となるアレルゲンは通常、消化管上皮細胞を通過することは少ないが、乳幼児では免疫システム、消化管構造の未熟さにより、アレルギー反応が惹起されることがある。申請者は、上皮細胞に発現し、バリア機能を制御しているTRPV4が、卵白アルブミン誘発食物アレルギーモデルに対し防御的に働いていることを見出した。本研究では、TRPV4を標的とし、食物アレルギー制御メカニズムの解明と効果的な予防方法の探索を行う。

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氏名 森田 英明
所属・役職 国立成育医療研究センター研究所 免疫アレルギー・感染研究部 室長
研究課題名 重症消化管アレルギーの病態解明
研究概要 近年、新生児・乳児消化管アレルギー(以下、消化管アレルギー)の症例報告が急激に増加しているが、その病態の詳細についてはほとんど明らかとなっていない。本研究では、詳細なメカニズム解析に必須である消化管アレルギーの動物モデルの作製・確立を行い、さらなる病態解析および新規治療法の開発につなげることを目的とする。

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氏名 森 雄司
所属・役職 藤田医科大学 ばんたね病院 小児科 助教
研究課題名 重症果物アレルギーの感作機序に関する研究
研究概要 果物アレルギーには口腔症状を主とするタイプと、全身症状をきたすタイプがある。前者は、花粉-食物アレルギー症候群で花粉との交差反応により生じるとされる。一方で、後者は現段階では感作経路が明らかではない。本研究の目的は、モモアレルギーの原因抗原の1つと考えられるgibberellin-regulated protein (GRP)の感作経路を明らかにすることである。

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氏名 山下 弘高
所属・役職 岐阜薬科大学薬理学研究室 講師
研究課題名 食物アレルギーにおける経皮感作と経口免疫寛容のバランスの解明
研究概要 食物アレルギーは、未成熟な腸管で食物抗原に感作され、アレルギーを発症すると考えられてきた。近年は、抗原が皮膚に触れることが主要な感作経路であり、腸管経路は、むしろ、免疫寛容を誘導すると考えられている。しかしながら、獲得した免疫寛容が、経皮的な抗原負荷によって破綻する機序は不明確である。本研究では、マウスを用いた経口免疫寛容モデルや経皮感作モデルによって経口免疫寛容が破綻する機序の解明を試みる。

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